最近、Microsoftコミュニティーには意外が情報が流れている。現在Thresholdというコードネームで開発が進んでいるWindows 9のデスクトップ版ではMetroのスタート画面がデフォールトから外されているというのだ。
NeowinのBrad Samsによれば、すくなくともいくつかのThresholdビルドでは「ユーザーはMetroのライブ・タイル環境にアクセスしたい場合、マニュアルでスタート画面を有効にする必要がある」という。
ZDNetのMary Jo Foleyはやや異なる側面について説明している。
Win32ないしレガシー・アプリが作動するデスクトップ、ノート版のThresholdのあるSKU(バージョン)ではWindows DesktopがデフォールトのUIとなる。Lenovo YogaやSurface Proのようなタブレット機能も備えた機種の場合、キーボードが接続されない場合はMetroモード、接続された場合は従来のWindowsモードとなる。
スマートフォン/タブレット版のThresholdにはDesktop環境はまったく搭載されないが、私の情報源によれば、複数のアプリが並んで作動する機能は維持されるという。このThreshold MobileバージョンはARM搭載のLumiaスマートフォンとArm搭載のWindowsタブレット、それにおそらくIntel Atom搭載のタブレットでも作動する。
これらの情報はそれぞれ理にかなったものなのでまとめてみよう。しばらく前からほぼ確実になったことがいくつかある。まずMicrosoftはWindowsについてデスクトップ環境を再び優先しようとしている。鳴り物入りでポストPC時代と騒がれたものの、ユーザーは生産性の高い伝統的な構成のコンピュータに今後も強く依存し続けることが明らかになった。Windowsはさまざまなスクリーンのデバイスにおいて横断的なシステムとして用いられるようになっており、将来はスマートフォンからデスクトップまで統一的な環境となるだろう。
私はMicrosoftがデスクトップ・コンピュータでスタート画面を廃止するだろうとは思っていない。しかしMicrosoftがWindowsの次世代版のユーザー体験においてデスクトップ重視に戻ることは大いにあり得る。
しかしここで問題が予想される。現在MicrosoftはWindows Storeの育成に全力を挙げているが、これはMetro版のWindows 8.xをベースにしている。にもかかわらずMetro UIを脇に片付けてしまえるものだろうか? しかしこれはやむを得ない妥協だろう。
もちろん限られた見聞の範囲ではあるが、私の周囲でもWindows 8.xのパソコンのタッチ機能は気に入ってもスタート画面をあまり好まないユーザーが多い。
Foleyは興味深い感想を述べている。
Microsoftは基本的にWindows 8.xを“捨てた”。機能や操作性がどうであれ、Win 8.xはMicrosoftにとって新たなVistaになってしまった。イメージダウンを避けたければ一刻も早く過去のものとする必要があるプロダクトだ。現在MicrosoftはThresholdの開発に全力を挙げており、そのリリースにあたってはWindows 8とは全く別物であることを印象付けようと懸命だ。
私もMicrosoftの戦略は賢明だと思う。Windows 8の良い点は残しながら、コンピュータではデスクトップ体験の重視に戻り、他のデバイスではそれぞれのフォームファクターに応じて適切なUIを採用するなら新OSは非常に強力で使いやすいものになるだろう。
もちろんこれを高いレベルで実現するのは容易なことではない。もしMicrosoftがWindows 8.0のような失敗を繰り返せば全パソコン市場に甚大な影響が出るだろう。年間3億台でいちおう安定したパソコン市場も再び混乱に陥るかもしれない。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)