Netflixは本日(現地時間6月20日)より、”インタラクティブ”動画をローンチすると発表した。これは、ユーザーの選択によってストーリーが変わる、ゲームブックのような仕組みの動画のことを指している。今年に入ってから噂が立っていたこの仕組みは、まず子ども向けの番組に導入される予定だ。Netflixによれば、特に子どもはスクリーンに触れたりスワイプしたりするのに加え、お気に入りのキャラクターと一緒に”遊ぶ”のが好きだという。
大人向けの番組にも今後同じような仕組みが採用される可能性はあるが、具体的な計画についてはまだ発表されていない。
インタラクティブ動画の第一弾となる『Puss in Book: Trapped in an Epic Tale』は本日より世界中で配信され、『Buddy Thunderstruck: The Maybe Pile』も7月14日から配信が始まる予定だ。Netflixが分岐物語(branching narrative)と呼ぶインタラクティブ作品の3つ目が『Stretch Armstrong: The Breakout』で、こちらは来年中の配信が決まっている。
『Puss in Book』では選択肢を選ぶ場面が13か所あり、最終的には2種類のエンディングに帰結するようになっている。さらに作品の視聴時間は、選択肢によって18〜39分の間で変化する。
インタラクティブ動画はほとんどのスマートテレビとiOSデバイスで楽しめるとNetflixは話しているが、現在のところNetflixのウェブサイトとアンドロイドデバイス、Chromecast、Apple TVには対応していない。
視聴者となる子どもたちは、各キャラクターに関するさまざま選択肢を選ぶことで、そのキャラクターのアクションや物語を自分で形作ることができる。つまり、選択肢によって結末が変わるので、同じ作品であっても何度も楽しむことができるのだ。
Netflixはインタラクティブ動画のローンチ前に、このアイディアに対するフィードバックを得るため、親と話し合いの場を設けたという。その結果、インタラクティブ動画には従来の作品よりも子どもをひきつける効果があり、さらに子どもたちに何らかの意思決定をさせることができると、親はポジティブな印象を持っていることがわかった。
とはいっても、Netflixがインターネットベースのサービスだからこそできることだと語っているこの試みは、まだ実験段階の域を出ない。現段階でのゴールは、ユーザーがコンテンツとどのように関わり合うのかを測定し、そこから洞察を得ることだ。具体的には、どのストーリーラインが人気かや、複数のエンディングがあることでユーザーは同じ作品を何度も見るようになるのか、といったことをNetflixは観察しようとしている。
子どもの視聴者を喜ばせる仕組みとして、インタラクティブ動画というのは一定の効果があるように感じられる。そして、子どもを取り込むことができれば、Netflixは既存ユーザーである家族を留めておけるようになるばかりか、新たな家族をユーザーとして獲得できるようになるかもしれない。しかし、ゲームブックの仕組みは本やゲーム、アプリではうまくいったものの、動画に採用するとなると、制作期間が普通の作品よりも増え、技術的な問題も発生してくる。例えば、複数の分岐点がある場合、早送りや巻き戻しをどのように行えばいいのだろうか?
その一方でもっと視野を広げてみると、インタラクティブ動画というのは、既に子ども向け番組では一般化している「第四の壁を破る」というトレンドが変化したものに過ぎないと気づく。昔の子ども向け番組から『セサミストリート』、さらには『ドーラといっしょに大冒険』といった最近の作品にいたるまで、キャラクターが画面を見ている子どもに向かって語りかけたり、指示を出したりするという演出は広く用いられており、教育番組であればこれが記憶の定着率のアップにも繋がるということがわかっている。この仕組みに慣れている子どもたちであれば、Netflixのインタラクティブ作品も抵抗なく楽しめることだろう。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)