投資家たちにも愛され、人気急伸中のWebサーバNGINXが今日(米国時間9/16)、HTTPの次世代規格HTTP/2を、サーバの最新の商用リリースでサポートする、と発表した。
無料のオープンソースバージョンではすでにHTTP/2を部分的にサポートしていたが、今日はNGINX Plus R7が同社の顧客にリリースされた。このリリースではHTTP/2のサポートが最大の目玉だが、この、同社を代表するプロダクトには、そのほかの新しい機能もいくつか加わっている。
HTTP/2は、その一部がGoogleのSPDYプロトコルをベースにしている。しかしNGINXのマーケティング担当Peter Guagentiによると、ブラウザ側のHTTP/2のサポートにまだむらがあるので、多くのブラウザの実装のレベルが揃うまでは、デフォルトの高速HTTPプロトコルとしてSPDYを使った方がよい、という。しかしHTTP/2はセキュリティの機能が優れているので、その試用は今から初めておくべきだ、と。
HTTP/2のNGINXの実装方式では、レガシーユーザに標準のHTTP 1でページを容易にサーブできる。またそれをサポートしているクライアントには、HTTP/2やSPDYで接続する。ただしSPDYとHTTP/2をパラレルに動かすことはできない。
今回のアップデートでは、NGINX PlusのTCPロードバランサが改良されている。前回の最初のリリースでは、TCPのサポートと、NGINXのHTTPのサポートがうまくマッチしていなかった。しかしこれからはたとえば、ユーザはTCP接続の接続リミットや帯域リミットを設定できる。一見するとマイナーな機能のようだが、しかし今ではストリーミングサービスなどでTCP接続が頻繁に利用されているから、アクティブな接続の数を制限できることは、DDoSとの戦いの最前線の防備として重要だ。
NGINX Plus R7はまた、Microsoft NT Lan Managerの認証を使っているアプリケーションに対応できる。これはTCPよりもさらにもっとマイナーなようだが、これによりレガシーのMicrosoftアプリケーションを動かしている環境でNGINXをロードバランサとしてデプロイできるようになる。同社によると、これはユーザの要望が多かった機能だ。
Guagentiによると、今回のリリースにはパフォーマンスアップのための改良が数多く盛り込まれ、またサーバのモニタリングと管理の機能も改良されている。これら多くの機能にアドミンが容易にアクセスできるよう、ダッシュボードも刷新した。彼によると、今のユーザは、“自分のスタックに対する驚くほど詳細な可視性を要求する”。でも、高度なユーザならサービスのAPIを使って必要なデータを取り出し、既存のダッシュボードにそれらを統合できる、と。なお、新しいダッシュボードでは、そこからアドミンがサーバの稼働中にパラメータを変えてトラフィックを調節したり、サーバをオフラインにする、新しいサーバを加える、などの操作ができる。
この新しいリリースの技術的詳細はここにある。
NGINXのチームによると、商用バージョンをまさに商用に利用する顧客が、今は非常に多様化している。“これまでのNGINXはナードのベストフレンドだったが、今ではエンタプライズユーザが同じものを求める”、とGuagentiはジョークを言う。このところの成長率は、通常のテク企業よりもエンタプライズによる採用の方が高い。彼によるとそれは、エンタプライズが現代的なソフトウェアアーキテクチャに前向きになっているからであり、DevOpsやクラウドへの移行が本格化しているからだ。今では金融企業や保険企業も、同社の顧客中に多く見られるようになっている。それに、一部の政府機関も。