NTT DataがNoSQLデータベースで各所に散在する企業データを統合化するMarkLogicに戦略的投資

日本のグローバルなITサービスプロバイダーNTT Dataが今日(米国時間5/31)、データベースのプロバイダーMarkLogicに戦略的投資を行った、と発表した。額は公表されていないが、MarkLogicのマーケティングと企業開発担当EVP Dave Ponziniによると、“巨額でもないが、ささいな額でもない”そうだ。これまでMarkLogicは、総額1億7300万ドルあまりを調達し、中でも大きいのが、2015年シリーズFの1億200万ドルだ。

MarkLogicの自己定義は、さまざまなデータサイロに散在しているデータを一つのデータベースに統合化するサービスだ。データの有効利用が企業戦略としてますます重視されるようになった今日、それはどの大企業にとっても、日に日に重要性を増している問題だ。これまでは、買収などを契機として、企業内の複数のグループがそれぞれ異なるデータベースシステムを使っていたが、今ではそれらの情報をすべてまとめる方法を探している。そのためによく行われるのが、すべてのデータをスキーマのないNoSQLデータベースに流しこむ方法だ。そこに、MarkLogicの出番がある。

仕事の性質からいって、同社の顧客の多くがGlobal 2000社であることも当然だ。売上等は公表されていないが、Ponziniによると年商“1億ドル強”、というあたりだ。

NTT Dataは2012年にMarkLogicを使い始めたが、むしろ同社(NTTD)の顧客のためのアプリケーションを作ることが主な目的だった。その後同社はデータベースの再販も手掛けるようになり、Ponziniによると、それによりMarkLogicは、たとえば金融サービス市場などにも食い込めるようになった。今日の投資はそんな両社の関係を強化するものであり、MarkLogicは、自社の事業所はないけどNTT Dataがとても強い市場(スペインなど)に参入できることになる。両社の既存市場が重複している地域においては、NTT Dataの顧客にデータベースを売るのはNTT Dataとなる。

NTT DataのCEO Toshio Iwamoto(岩本敏男)は、今日の発表声明で次のように述べている: “NTT DATAは、MarkLogicとの戦略的関係の拡大に感激している。日本で過去5年間、両社が共に経験した成功を、世界に広げていきたい。MarkLogicのデータベースプラットホームとNTT DATAが開発した知財資本を用いて、複雑なデータ統合化問題を解決するわれわれの能力により、クライアントは彼らのデータから重要なインサイトを析出でき、彼らが属する市場において競争上の優位を獲得できる”。

わずか数週間前に、MarkLogicは同社のデータベースのバージョン9をローンチした。このリリースはセキュリティを強化し、要素レベルのパーミッションやリダクションなどが導入された。MarkLogicのEVP Joe Pasquaはこう語る: “われわれはつねに、もっとも安全なNoSQLデータベースであり続けてきた。しかし今回強化したかった新たな側面は、共有に伴うリスクを減らすことだ”。すべての情報を統合化すると、どのデータには誰がアクセスしてよいのか、という一連の問題が発生する。要素レベルのセキュリティによって企業は、一部の情報を多くのユーザーに隠したままの状態で、データの有効利用を確保できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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