このところ急成長しているコンテナへの関心が、OpenStackにとって脅威とも別の選択肢とも取られることがある。OpenStackは2010年にRackSpaceとNASAが作った、クラウドコンピューティングのためのオープンソースのインフラストラクチャだが、コンテナとそれを管理するMesosphereやKubernetesなどとの組み合わせは自分で自分のインフラストラクチャを管理できるから、OpenStackというレイヤは要らない、とする説だ。
しかし、OpenStackのコミュニティからのメッセージは、違う。今週バンクーバーで行われているOpenStack Summitでは、実はむしろ、コンテナがホットな話題だ。OpenStack FoundationのCOO Mark Collierが今日(米国時間5/19)行ったキーノートでも、コンテナに長時間が割かれた。
彼のメッセージの中心的なポイントは、OpenStackを統合化エンジンとして考えよ、というものだ。数年前にはプロジェクトをさまざまなハイパーバイザと統合して仮想マシンを管理していったように、今およびこれからはコンテナと、GoogleのKubernetesのようなコンテナ管理プラットホームを、OpenStackとそのプロジェクトに統合していくだろう。
“コミュニティとして重要なのは、OpenStackを、何でも受け入れる統合化エンジン、と考えることだ”、とCollierは言う。“それによってユーザを、成功に向かう正しい位置につけることができる。ストレージでもネットワーキングでも、OpenStack自身が車輪を再発明することはなかったが、コンテナに関してもそれは同じだ”。
この点を強調するためにCollierはGoogleのクラウドソリューションアーキテクトSandeep Parikhをキーノートのステージ上に招き、Kubernetesが一つの分散アプリケーションをOpenStackのクラウドとGoogleのクラウドインフラストラクチャの両方で動かす様子とそのやり方をデモした。
またOpenStack Foundationが最近ローンチした’Magnum’プロジェクトは、コンテナをプロジェクトにより深く統合する際に必要となる実装技術の面倒を見てくれる。OpenStackのコンピュートプラットホームNovaも、かなり前から一定のコンテナサポートを提供している。
結局のところ、OpenStackはデベロッパたちに、彼らが自分のワークロードを管理するための単一のAPIを提供しなければならない、ということなのだ。その管理の対象は、コンテナの上で動くものもあれば、仮想マシン上もあり、両者の併用もある。どちらかを排除するいわれはない。
OpenStackのベンダたちも、これと同じことを言っている。OpenStackという一つの技術があるからといって、それが何から何まですべてを提供しなければならない理由はない。OpenStackにコンテナを統合すれば、デベロッパはコンテナのアドバンテージとOpenStackのインフラストラクチャサービス(セキュリティ、認証、ネットワーキングなどなど)を組み合わせて利用できるのだ。