PayPalがウクライナ人への直接送金を可能にするサービスを拡充

PayPal(ペイパル)は、ユーザーがウクライナ人に送金できるようにサービスを拡充すると、米国時間3月17日に発表した。この拡充以前は、ウクライナのユーザーはPayPalを使用して国外に送金することしかできなかった。これにより、ウクライナのPayPalアカウント保有者は、世界中の友人や家族と送金し合うことができるようになる。PayPalウォレットでお金を受け取ったウクライナの顧客は、対象となるMastercardまたはVisaのデビットカードやクレジットカードをリンクすることで、自分の銀行口座に資金を移すことができるようになる。

また、PayPalは、6月30日まで、ウクライナのPayPal口座への送金、またはウクライナのPayPal口座への入金の手数料を一時的に無料にすると発表している。同社の国際送金サービスであるXoom(ズーム)も、ウクライナの受取人に送金する際の取引手数料を無料にする予定だ。

今回のPayPalの発表は、ウクライナ政府から同国の人々が支払いを受けられるような新サービスを展開するよう同社に要請があったことを受けてのものだ。

ウクライナの副首相兼デジタル変革担当大臣のMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)氏は、Twitterでこの拡大を称賛し、PayPalから受け取った手紙を公開した。

PayPalからの手紙には「我々のチームは、PayPalがどうやったらウクライナの人々に最善かつ迅速に追加サービスを提供することができるかを見極めるために集中的に取り組んできました」と書かれている。「このサービスは、ウクライナの人々が世界中の友人や親戚からお金を受け取るために役立つと信じています。また、他の国にいるウクライナ人難民にとっても、現在住んでいる場所でお金を受け取ったり、引き出したりすることができるので、助けになると思います」。

ウクライナの顧客は、ウクライナのPayPalウォレットからUSD、CAD、GBP、EURで送受信することができるようになる予定だ。顧客がPayPalウォレットから対象のデビットカードやクレジットカードに資金を送金するとすぐに、そのカードに関連する通貨で資金を利用できるようになる。

今回の発表は、PayPalが今月初めにロシアでのサービスを停止したことを受けて行われたものだ。PayPalだけでなく、Mastercard(マスターカード)とVisa(ビザ)もロシアでのネットワークサービスを停止しており、同国から撤退した決済企業はPayPalだけでない。

戦争が始まって以来、人々はウクライナの人々を経済的に支援する方法を探してきた。Airbnb(エアービーアンドビー)のCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、世界中の一部の人々が、ウクライナのホストに経済的支援を送るため、宿泊するつもりがなくてもウクライナのAirbnbを予約していると述べた。また、ウクライナは、対ロシア戦の援助を求める人々から数千万ドル(約数十億円)相当の暗号資産による寄付を受けている

PayPalのサービス拡充により、ウクライナの人々を支援する、より直接的な方法が促進されることになるだろう。同社によると、これらの新サービスは本日から利用可能になるとのことだ。

画像クレジット:Yichuan Cao/ NurPhoto / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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TechCrunch Japan

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