PayPalは本日、新たなユーザー間決済のサービスをローンチした。デビューしたプラットフォームの名前はPayPal.Meだ。PayPalのカスタマーは個別のURL(例えば、paypa.me/username)が付いた自身のユーザープロフィールを設定することができるようになった。URLをテキスト、Eメール、インスタントメッセージ、ソーシャルメディアなどで共有するだけで、送金を受け取れるようになる。
PayPalのユーザー間決済の分野における取り組みはもちろんこれだけではない。ウェブサイトの「請求する」機能の他に、同社はVenmoを運営している。このソーシャルアプリは、特にモバイルが浸透している若い世代の人気が高く、お金を借りている友人にお金を返したり、レストランでの食事代を折半したりするのに利用されている。
PayPalがVenmoと競合するようなアプリをローンチしたことは奇妙に思える。PayPalはこれについて、Venmoはアメリカの銀行、クレジットカード、デビットカード会社としか連携していないが、PayPal.Meはより広範なグローバルなユーザーに向けたものだと説明する。
PayPalは世界規模で1億7000万のアクティブユーザーを抱え、彼らは既にPayPalを用いて送金や請求を行っている。PayPal.Meは、これまでのPayPalのツールとは違った、モバイル主導のより簡単で速いユーザー体験を提供することを念頭に置いて設計しているという。
PayPalによると、ユーザー間の小さな貸し借り、例えば友人間や家族間での金銭の貸し借りは、合計すると規模が大きいという。グローバル規模で、成人は累計510億ドルを互いに貸し借りているが、多くの人は貸した相手にお金を返してほしいと言うのに抵抗がある。
もちろん、PayPal.Meでお金返してほしいと要望することまで無くせるわけではないが、お金を借りている人が返すための簡単な方法を提供している。
「会話がデジタルになりつつある中、ユーザー間決済をより会話の流れに沿ったものにする方法を見つける必要がありました。どのチャネル、どのデバイス、どのコミュニケーション方法、例えそれがメール、テキストメッセージ、インスタントメッセージであろうと、簡単に利用できる方法を検討しました」とPayPalのGlobal Consumer Productsのシニアディレクターを務めるMeron Colbeciは、同社がこの方向に進んだ理由を説明する。
Colbeciによると、PayPal.MeはウェブでPayPalが提供している体験を代替するものではなく、ユーザーにとって別の選択肢を与えるものであるとした。
これまでのオンラインの体験とは違い、PayPal.Meを使用することで決済の手順を減らすことができる。これまでユーザーはPayPalのウェブサイトにログインし、「請求する」機能にアクセスして、請求依頼を製作するために相手のメールアドレスを入力しなければならなかった。一方、PayPal.Meではリンクを共有するだけで済む。
リンク自体は覚えやすいもので、ユーザーが選んだユーザー名がURLとなる。(例えば、私はpaypal.me/sarahperezに設定する)ユーザー名の設定ができたら、プロフィールのテーマを変えることができる。リンクを共有する際、友人間や家族間での支払いのために利用するか、あるいは仕事上の商品やサービスの料金を受取るのに使用するかを選ぶ。その後の手順は、友人にリンクを送るだけだ。友人は自身のPayPal口座にログインし、情報の確認から支払いまで一つの画面上で行うことができる。メモを残したい場合は、そうすることもできる。
支払いを楽にするため、請求する側は正しい金額を予め個別URLの最後に入力することができる。つまり、「paypal.me/username/50」で50ドルを請求することができる。
サイトはモバイルに最適化されているが、ネイティブのモバイルアプリでなくても、ウェブからアクセスすることもできる。PayPalアプリをインストールしていれば、支払い情報はメールとプッシュ通知で届く。PayPalアカウントから別のPayPalアカウントへの支払いは瞬時に行われるが、資金を銀行口座に送金する場合はもう少し時間がかかる。どの地域のどの銀行かによってかかる時間は異なる。
将来的にPayPal.MeはPayPalのインスタント決済サービスのOneTeouchと統合し、ユーザー名とパスワードでログインする手間を省くことを考えている。ユーザーが既に別のブラウザやモバイルからPayPalにログインしていることを考慮に入れている。(OneTouchでは、PayPalユーザーが別のサイトからアクセスしても、それを認識してログイン状態を保持する。)これで、決済までのプロセスが一層速くなるだろう。
PayPalはPayPal.Meのサービスは18の市場で展開する予定だという。アメリカ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ロシア、トルコ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド、スウェーデン、ベルギー、ノルウェー、デンマーク、オランダ、スイスとオーストリアだ。
PayPalはこのプロダクトはまだ「1.0」版だという。
「ユーザーがどのようにこのサービスを利用するか理解したいと考えています。フィードバックを集め、それを元にプロダクトと機能の改善を行っていきます」とCobeciは話す。
その機能として、サービスによりソーシャルな要素を加えることが考えられるだろう。例えば、友人リストに簡単にアクセスできるような機能だ。あるいは、ビジネス向けのユーザーエクスペリエンスを向上させることかもしれない。ただ、これらは予想であり、開発には至っていないことを明記しておく。
PayPal.Meは数社あるユーザー間決済アプリと競合する。 Square Cash、Facebook(Messenger内)の決済機能、Google(Gmail内とGoogle Wallet)、Snapchat(アプリ内、Square Cashの協力による)の決済機能などがその内の一部だ。
該当の市場で、PayPal.Meのユーザー名にサインアップするにはPayPal.Meからできる。
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