PayPal(ペイパル)は米国時間11月16日朝、薬局チェーンCVSの全米8200店でPayPalまたはVenmo QRコードを使って決済できるようになったと発表した。PayPalのQRコード決済テクノロジーをPOS(販売時点情報管理)に統合した初の大手小売だ、と説明している。新たな決済方法は、CVSでの「タッチフリー(非接触)」支払い手法を拡大するものだ。米国では新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、タッチフリーは大人気の決済方法となっている。
CVSとPayPalは2020年7月にPOSソリューションで協力する計画を発表している(未訳記事)。当時、両社は2020年第4四半期のどこかで展開を開始するというタイムフレームを示した。
QRコードを使った決済プロセスでは、品物の購入に必要な資金を顧客のPayPalまたはVenmoの口座残高、銀行口座、あるいはデビットカードかクレジットカードから引き出す。オンラインで行われる決済と同じようなものだ。VenmoユーザーはVenmo Rewardsを活用することもできる。
この決済に手数料はかからない、とPayPalは話す。加えて、CVSのExtraCare Rewards Program会員は、決済でPayPalのQRコードを使う時、ExtraCareアカウントを活用してポイントを使ったり貯めたりもできる。
カード決済の場合はカードをスワイプしたりマシーンに差し込んだり、あるいはキーパッドで数字を入力したりする必要があるのに対し、QRコードを使った決済はQRコードをスキャンするなどすべてタッチフリーで行うことができる。
この手法まさしくCVSでコンタクトレス決済の需要が高まっているときに導入される。
Forresterのデータによると、CVSでは2020年1月以来、タッチフリーの決済が43%増えた。加えて米国の人口の11%がパンデミックのために初めて電子決済を使っている、とPayPalは指摘した。同社独自の調査ではまた、消費者の57%が小売事業者が電子決済に対応しているかどうかが買い物の決定に影響を及ぼすと答えたことも明らかになった。
新しいQRコード決済オプションを使うには、客はまずPayPalかVenmoのアプリを立ち上げ、「スキャン」ボタンをクリックする。そして「show to pay(表示して支払い)」オプションを選択する。
この決済手法は決済テクノロジープロバイダーInComm(インコム)との提携により可能となった。InCommはこの機能をPOSで利用できるようにするクラウドベースのソフトウェアアップデートを通じてPayPal QRコードテクノロジーを実現した。
CVSはPayPalのQRコード決済を展開する初の全国小売だが、Nike(ナイキ)、Tumi(ツーミ)、Bed Bath & Beyond(ベッドバスビヨンド)、Samsonite(サムソナイト)など、大手小売10社が同様の決済を展開する予定だとPayPalは述べた。その他に小売100社超とも協議中だ。
「CVSでのPayPalとVenmoのQRコード立ち上げは、健康意識の高い顧客にタッチフリーの決済方法を提供するだけでなく、安全で確かなPayPalとVenmoの決済を店舗にもたらす」とPayPalで消費者サービスとデジタルコマースを担当する上級副社長Jeremy Jonker(ジェレミー・ヨンカー)氏は声明文で述べた。「冬に向かう中で薬局小売は必要不可欠な存在という状況において、PayPalとVenmoのQRコードがCVSの顧客と従業員の安全維持に貢献することに興奮している」。
CVSのニュースに加えて、PayPalは2020年8月に発表した購入代金を分割払いできる「Pay in 4」オプションが多くの小売店で利用できるようになっていることも明らかにした。
カテゴリー:フィンテック
タグ:PayPal、Venmo、QRコード決済
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(翻訳:Mizoguchi)