デジタルコマース企業PayPalは「ボタン以上のもの」を提供する企業となり、世界規模の決済プラットフォームとして、親会社のeBayから今年の後半に独立する準備を整えている。
「現在金融サービス業界は大きな変革の時期を迎えていますが、私たちもこの機会に市場に参入します」とPayPal の新CEOであるDan Schulmanは、今日のCommerce:Rewindのイベントで話した。「私たちはPayPalをサービスとしてどのように再提案するかを検討しています。SaasプラットフォームとしてのPayPalということです」。
大きな変革は、コンシューマーがモバイルテクノロジーを商品の決済手段として活用し始めたことに起因している。
「オンラインとオフラインの決済方法の線引はぼやけて消えようとしています」とShulmanは言う。PayPalは世界中に、1億6500万人のアクティブなコンシューマーを抱えている。PayPalで行われる決済の3回に1回は、モバイル端末からだとShulmanは話した。
Shulmanは、PayPalをモバイル決済を牽引する存在にするつもりであると話した。「その内、私たちはデスクトップの決済よりモバイルでの決済を多く扱うようになります」と彼は言う。
やるべきことはたくさんありますが、この道を進むことは楽しみでもあります。
スマートフォンやスマートウォッチでの決済機能が充実してきたため、この分野には活気がある。Shulmanによると、2015年の最初の四半期で、モバイルでの決済回数は10億以上になり、毎年40%以上の増加が見られるという。
世界的にモバイル端末が普及したことが要因だ。2016年までに世界中の20億以上の人がスマートフォンを手にするようになると、eMarketerの最新の予測が出ている。
このイベントでは、PayPalがeBayに力添えを受けるプラットフォームではなく、自社のサービスを確立していく動きを強調した。先週PayPalは、Nasdaqで「PYPL」のティッカーで上場することを公表した。これはeBayに買収される前にPayPalが使用していたオリジナルのティッカーだ。同社は親会社のeBayから年内にスピンオフし、その後上場する予定でいる。
今後PayPalは、自社サービスをウェブのありとあらゆるプラットフォームで利用できるようにする考えだ。同社は独立に向けた動きを他にもいくつか発表した。一つは、One Touchのモバイルウェブをモバイルアプリにリンクする機能だ。モバイルのOne Touchで、コンバージョン率を50%以上も改善することができるとPayPalは伝えている。
「その分野で私たちは引き続き多くのイノベーションを起こしていきます」とPayPalのシニア・バイスプレジデントを務めるBill Readyは伝えた。
Readyからもう一つ発表があった。 Bigcommerceとのパートナーシップだ。Bigcommerceは、小売業者がeコマースサイトを作ることができるソフトウェアプラットフォームだ。このプラットフォームにPayPalの機能を導入することで、ユーザーはBigcommerceのプラットフォーム内でPayPalとBraintreeを利用できるようになる。
PayPalは他にも、PayPal Creditのプロダクト機能を拡充し、支払い方法を選択できるEasy Paymentsオプションを提供することを発表した。買い物客が自分の財政状況を確認した上で、支払い方法をコントロールできるようになるという。
また、PayPalはChina Connectを開始すると発表した。PayPalによると、決済の4分の1はアメリカ以外の地域で行われていて、国際間の決済では、アメリカ、イギリス、ドイツ、ブラジル、中国、オーストラリアの買い物客の79%がPayPalを利用したいと考えているそうだ。中国市場は急成長を遂げているため、China Connectの開始はPayPalのクロスボーダー決済での地位を高めることにつながるだろう。
更にPayPalは、大手小売業者にアプリから購入商品の決済ができるPaydiantを提供する。PayPalはモバイル決済企業のPaydiantを今年の初めに買収し、オフラインの商店でのスマートフォン決済システムを拡充する計画だ。GoogleやAppleのアプリ決済を提供する企業と張り合うことになるだろう。
「コンシューマーと商店にとって価値を提供するチャンピオンになるのが私たちの目標です。そのようになるには、まだまだ多くのことを成し遂げなければなりません。やるべきことはたくさんありますが、この道を進むことは楽しみでもあります」とShulmanは伝えている。
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