主観的な人々の知見を集めたQ&Aサイト「Quora」はユニコーンになった。8年間、丁寧に質問と回答の知的なコミュニティーを構築していた彼らは、シリーズDで8500万ドルを調達したと発表した。Collaborative FundとY CombinatorのContinuity Fundが共同でリード投資家を務めている。QuoraはTechCrunchに対し「前回の資金調達から評価額はおよそ2倍になった」と話す。2014年に8000万ドル調達した時の評価額は9億ドルだったので、現在の評価額はおよそ18億ドルとなる計算だ。
評価額を急激に押し上げた2つの大きな要因は、ユーザーグロースと開始した広告テストの結果が良かったからだという。Quoraには現在1億9000万人の月間ユーザーがいる。昨年から1億人増やすことができた。これは、あらゆる分野で専門的な意見を得られるサービスとなるポテンシャルがあることを示している。このスケールは広告主とっても魅力だ。Quoraの読者は、ある事柄に対して興味関心があることを表明している。何か回答を探している人は、それに関連する商品の購入にも関心があるだろう。
「広告プロダクトは結構良い結果が出ています」と共同ファウンダーでCEOのAdam D’Angeloは言う。Quoraの広告は会社名と詳細をユーザーが回答する質問のすぐ下に表示する。この広告フォーマットはまだクローズドベータでしか提供していないが、 D’Angeloは「今のところ、その結果は良いもので、今回の調達ラウンドの投資家にとってこの数字は重要なことでした」と話す。
D’Angeloはここまで8年間、企業が利用できる広告プロダクトは用意しておらず、Quoraはゆっくりとビジネスを進めてきたと話す「私たちはマネタイズより、ユーザーとミッションを重視してきました」。Quoraの持つ大きなアイディアとD’AngeloのFacebook初のCTOを務めた経験、そして彼らの目指す市場には強い競合がいないことで、Quoraはサービス開発に時間をかけることができた。
ユニクオーン(ユニコーン+クオーラ)
Sam AltmanとYC Continuity、Collaborative Fund、既存投資家のTiger Global、Matrix Partners、Facebookの共同ファウンダーDustin Moskovitzもこの調達ラウンドに参加した。彼らはQuoraが長く続くビジネスになると信じている。Wikipediaは客観的な二次情報を集めているが、Quoraは主観的な一次情報を集めている。人々はいつも答えを求めていて、Quoraではそれに対する最適の答えが見つかる。常に新しいコンテンツが生成されるこの場所は、今後広告収益を大量に生むことになるかもしれない。
Quoraは、Yahoo Ansers Nowといったコンテンツの信頼性が乏しいものの、長らくQ&Aサイトを運営しているところと競合することになるだろう。また、今後人工知能が発達した場合、Quoraから主観的な知見を集める別の方法が台頭するようになるかもしれない。しかし、VentureBeatによると、今回調達した金額でQuoraの累計調達額は 2億2600万ドルとなり、Quoraはこの長い戦いを続けることができる。
「今回調達した資金の主な用途は国際化戦略です」とD’Angeloは話す。最終的に「ユーザーがコンテンツを他の言語に翻訳したりできるようにしたいと考えています。まだその仕組みは作っていませんが」と言う。現段階では各言語専用とアプリを制作していく。Quoraのスペイン語版は昨年ローンチし、スペイン語の質問と回答を集めている。フランス語はベータ版があり、ここ数ヶ月内にドイツ語とイタリア語を制作するという。「次の1年か2年で全ての言語にアプリを作成したい」とD’Angeloは話している。
これまで静かにサービス展開を行ってきた会社がユニコーンになったことについてどう思うかと尋ねた時、D’Angeloは「何も変わらないと思います。私たちはミッションに専念してきました。最も大事なことはより多くの知見が共有されることにあります」と話した。とても彼らしい回答だ。
ただ、Quoraのステータスが高まることでQuoraの存在感も高まり、次のユーザーグロースの波を呼び寄せるきっかけとなるかもしれない。人々がGoogleに「最良の旅行ハックを教えて」と聞くのではなく「最良の旅行ハックを教えて、Quora」と尋ねるようになるかもしれない。
[原文へ]
(翻訳:Nozomi Okuma /Website)