RedditとRobinhood問題、気候変動、Zoom関連ほか先週の株式市場とスタートアップまとめ

RobinhoodとDeFi

Robinhoodはすべての人々が金融市場にアクセスできるようにすることを約束するスタートアップだが、最近、GameStop、AMCなどいくつかのミーム株(急騰している人気株)の取引を一時制限した。多数の個人投資家はフィンテックの「期待の星」がその名にふさわしくない措置を取ったとして非難した。理由は短期的かつ市場取引の技術的側面に由来したのかもしれないが、一般の個人投資家は「この選択は腐敗している」と感じた。

理由はこうだ。Robinhoodが取引を制限したのは主要なパートナーである大型ヘッジファンドが株価の値下がりを予測してショートポジション(空売り)を狙ったのに対して、株価のさらなる値上げを図っていたRobinhoodのユーザーが利益に反すると感じたからだ。この利益相反は明白であり、「金融の民主化」が実現にあたって多くの皮肉を含むキャッチフレーズであることを示している。 個人投資家は現在PublicやWebullなどRobinhoodのライバルに移動し、多くのショート筋を攻撃している。

他のスタートアップはいくつかの教訓を学べるはずだ

つまりシステムの非集権化が強まるにつれて暗号通貨とDeFi(分散型金融)分野におけるスタートアップの位置が高まる。Redditの共同創設者であるAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏は、TwitchでAlexandria Ocasio-Cortez(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)下院議員にGameStop問題とRedditの立場について説明した。同氏はこう述べた。

朝起きて「1週間前の状態に戻ろう」と考える人間はいません。全体として、人々がいったん見てしまったことを見なかった状態に戻すことはできません。今後、分散型金融に対してますますエネルギーが注がれるでしょう。ゲームの結果をあらかじめ操作することができないような仕組みを探す試みが強まります。Bitcoinが高値の新記録なを更新している現在、Robinhoodの失墜は分散型金融の価値をさらにアップさせる意味しかありません。

私が重要だと思う2つ目のポイントは、個人投資家をユーザーとするフィンテックスタートアップが制度的規制の圧力をこれまでなかったほど意識していることだ。 今回は1つのスタートアップが規制に屈したかもしれないが、これは他のスタートアップも安全でないということだ。またオープンかつ自由な市場は簡単に実現を約束できるものではない。アーリーステージのフィンテックスタートアップにとって最大の課題は、創造的破壊の混乱の中でイノベーションを確保する方法だ。

今のところ、私に言えるのはこの程度だ。興味があれば私のポッドキャストを聞いていただきたい。いずれにせよウォールストリートにとって激動の1週間だった。これはスタートアップに長期的にどんな影響を与えるだろうか?読者に意見があれば、natasha.m@techcrunch.com にメールするか、Twitterで @nmasc_ にDMを送っていただきたい。

気候テックという雑草

画像クレジット:James A. Guilliam/Taxi/Getty Images

気候テクノロジースタートアップに対するアーリーステージの資金調達はいまいち盛り上がりに欠けている。しかしこのカテゴリーのスタートアップは維持可能な規模に成長するために資金調達を必要としている(地球を温暖化にの運命から救わねばならない)。TechCrunchのJonathan Shieber(ジョナサン・シーバー)記者は今週、ベンチャー投資家のうち誰が気候テクノロジーの重要性を認識しているかについての記事をいくつかアップした。

その他にも、1人のベンチャーキャピタリストが、SPACがクリーンテックの新興企業にとっての道だと考える理由。 またアーリーステージのアクセラレーターが持続可能性を重視するスタートアップのクラスをスタートさせた。

Zoom以外のリモート教育

1年足らずの間にEdTechがブームとなり、それに続きスタートアップが統合を目の当たりにしたのは注目に値する出来事だ。パンデミックという否応ない力に押されたリモート学習の進展に支えられこのセクターでは、忙しい日々が続いた。

ポイントは以下のとおり。生涯学習がEdTechの主流になってきたと13人の投資家が考えている。これまでも教育機関が概して新たな支出を渋るのに対して、子供たちの親のほうが熱心であるため、一般向EdTechのほうがセールスが容易だった。パンデミック後、学校での学習を代替するような学習サービスに需要が急増した。投資家に対する我々の調査では、この分野でチャンスが失われたのはどの分野か、アーリーステージのスタートアップにとって最大のハードルは何なのかなどの詳細などが明らかにされている。

その他にも、科学教育におけるMinecraft級の成功を目指すスタートアップが投資家からのシード資金の獲得をスタートさせている。一方、2011年に創立されたEdTech企業は8年間後に黒字化した。現在では数十万の有料加入者を得ている。ちなみに赤字と規模拡大を続けているEdTechがSPACを介して上場される。

SPAC=特別買収目的会社がブレーク

SPACは庭の雑草のようなもので、1カ所抜いても別のところにすぐ生えてくる。正確には300カ所だ。

記憶すべき点はこうだ。今週、Chamath Palihapitiya(チャマト・パリハピティヤ)氏はLatchとSunlight Financialの2つのSPAC設立を発表した。

2015年10月8日にサンフランシスコで開催されたBloomberg West TelevisionでインタビューされるSocial + Capital Partnershipのファウンダー、マネージングパートナーのパリハピティヤ氏。同氏はベンチャーキャピタルの多様性を増進する方法について語った(画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images)

Coinbaseは直接上場で株式公開する。Squarespaceは非公開で株式公開を申請。WeWorkは企業分割で株式公開するかもしれない。

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カテゴリー:その他
タグ:RobinhoodRedditGameStop教育株式市場

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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