Salesforce.comとMicrosoftは今日(米国時間9/16)、従来の統合に基づき提携関係をさらに強化していくことを発表した。両社は今日午前、サンフランシスコで開催中のSalesforceの顧客向けイベント、Dreamforceの会場で発表を行った。
両社は、Microsoft製品がSalesforceの最近名称変更した中核CRM製品であるSalesforce Lightning Experienceとスムーズに協調するための、一連の新統合ツールを導入した。
今日発表された機能の一つであるSkype for Business(従来Lyncと呼ばれていた)がLightningプラットフォーム上に移植されると、社員同志がSalesforceの中からSkype経由でビデオまたは音声通話、およびチャットを行えるようになる。
さらにSalesforceはOneNoteも統合し、Lightningから直接ノートを閲覧および編集できるようになる他、Microsoft Delveを使って、営業担当者がSalesforce内で営業機会を発見するのを助ける。
中でも後者の機能で興味深いのは、これがMicrosoft自身のCRM製品であるMicrosoft Dynamicsの次期リリースに組み込まれることだ。これは、Microsoftがよりオープンであろうとしている証拠であり、全体構想を進めるためにはライバル製品でさえ自社ツールと共に動作させることを辞さないことを示している。
Salesforceは、Windows 10向けに、Salesforce 1 Mobileアプリを開発する計画で、これはWindows 10に最先端のモバイルクラウドツールを提供することで、同プラットフォームのモバイル面の強化をはかるものだ。
両社が共通の利益を見出していることは明らかで、Microsoftは膨大なSalesforce.comクラウド顧客ベースにアクセスが可能となり、Salesforceは、顧客が今すでに使っているMicrosoftツールをさらに密な関係で使えるようにすることで満足度を高めることができる。この製品横断の統合は、かねてから企業のCIO(情報責任者)が要求してきたものだ。
今日の発表は2014年5月に発表した提携に基づくもので、当時両社は互いの製品同志を統合する方法を探り始めていたところだった。TechCrunchのAlex Wilhelmが当時こう書いている。
Salesforceは、Windows、Windows Phone 8.1をサポートし、「SalesforceとOffice 365の相互運用」を可能にすると共に、OneDrive for Business、SharePoint Online、およびOutlookを様々な場面で統合する。
良好な関係が1年以上続く今になっても、かつて2つの会社がいがみあっていた姿は忘れられない。実際、2010年5月にMicrosoftはSalesforceを著作権侵害で訴え、その後6月にはSalesforceが逆訴訟した。もちろんすべては過ぎたことであり、争うよりも協力する姿の方が両社にも顧客にもよく似合っている。
なお今年5月に、SalesforceがMicrosoftからの550億ドルの申し出を断わったという噂があった。一部報道は、CEO Marc Benioffが700億ドルを要求したことを示唆した。たとえ合併という形ではなくても、両社は互いの製品をより緊密に結び付きるべく前進を続けている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)