SAPは本日(米国時間7月11日)、Leonardo IoT Bridgeと呼ばれる新しいツールを発表した。現場のセンサーから収集されたデータと、企業内で動作するビジネスシステムの間のギャップを埋めるためにデザインされたツールだ。
製造業界は今、センサーを備えた機器群が、健康や周囲の環境データを、濁流のようにインターネット上を介して送り付けるようになる、大規模なシフトの途上だ。
大規模で複雑なERPシステムとデータベースの開発で知られるドイツのSAPは、大量のビジネスデータ処理処理を通して学んだ知見を、接続されたセンサ群や基盤となるシステムに適用したいと考えている。
このため、同社はこの5月に、SAP Leonardoと呼ばれる新しいプラットフォームを発表した。SAPのInternet of Things担当SVP(これが出来たばかりのポジションであることは確実だ)であるNils Herzberg氏によれば、Leonardoは、大量のIoTデータを収集し処理を行い、そして活用することを助けるクラウドサービスである。
初の顧客イベントであるLeonardo Liveで、本日発表されたLeonardo IoT Bridgeは、SAPアプリケーション情報とセンサーデータを組み合わせて、運用状況をリアルタイムで追跡することができるようにするデジタル司令センターだ。
新しいツールを発表した同社のブログ記事によれば、「SAP Leonardo IoT Bridgeの主要な機能は、IoTアプリケーションから送られる予想外のイベントや予定外のイベントを特定し、ユーザーにコンテキストと共に提示を行なうことです。その際には意思決定を助けるために、サービスレベル契約、コストおよびその他の関連要因とのトレードオフも同時に示されます」とのことだ。
もし述べられたとおりに動作するならば、リアルタイムで情報を追跡するために苦労している物流および運用チームを持つ顧客たちへの福音となるだろう。実際同社は、Bosch Groupと提携し、配送会社向けの、配送車両ならびに荷物のリアルタイム追跡を行なう、IoT Bridge Bridgeのダッシュボードの構築を行なうことを発表した。このシステムは車両の位置情報や、車内の温度並びに衝撃データに基づく荷物の状態に関わるセンサーデータを、IoT Delivery Bridgeに対して送信する。
しかも、それは単に車両が故障していることや、ひどい渋滞に巻き込まれていること、そして荷物が破損したことなどが検知できるだけではない。近隣のどこに代替車両や荷物があるのか、とにかくどのような手段を用いれば配送を完遂できるのかを知るために、ビジネス情報にアクセスすることが可能だ。
このツールは、さまざまなやりかたで構成することができるため、この同じ技術を使用して、製造業における機械設備の故障や、スーパーマーケットの食品腐敗に対する予測などに応用することも可能だろう。
標準のLeonardoサービスには、機械学習、分析、ビッグデータ、さらにはブロックチェーンがサービスとして含まれる。プラットフォームはセンサーからの情報を収集し、データを活用する、より実用的なワークフローを構築する目的に役立つ。
Herzbergが指摘したように、もし倉庫内に修理部品があるかどうか、どれ位の時間でそれを入手できるのか、そして修理を行うことのできる訓練されたサービス要員がいるのかどうかが分からないのならば、燃料ポンプが故障する可能性があると予測できてもあまり意味がない。これは実際、こうした種類の情報を追跡するシステムを構築している、SAPのようなERPプロバイダにとっては、魅力的な応用対象分野だ。そのノウハウを使ってIoTデータを活用できると彼らは考えている。
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(翻訳:Sako)