営業(セールス)という仕事は、いろいろなところからデータが入ってくるし関係者の数も多いため、混沌とした状態になりがちだ。2020年、Salesforceが270億ドル(約3兆845億円)でSalesforceがSlackを買収したのも、それが人やデータを整理してまとめる接着剤になると考えたからだ。アーリーステージのスタートアップMomentumは、そうした関係を利用して、営業と会社の他の部分とのコラボレーションを自動化するレイヤーを作りたいと考えている。。
同社は米国時間11月10日、Basis Set Venturesがリードするシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達したことを発表した。これにはInovia CapitalやLeadout Capital、South Park Commons、そして業界のエンジェルたちが参加した。MomentumのCEOで共同創業者のSantiago Suarez Ordoñez(サンティアゴ・スアレス・オルドニェス)氏によると、同社は当初、Slackを利用した商談室を作りたいと考えていたが、SalesforceがSlackを統合する最初の段階で作ってしまったため、また違う課題に取り組もうと決めた。
「おもしろく、しかもSalesforceにできることとは違うことをやるには、最初に考えた商談室とコラボレーションというアイデアにもっと固執してみるべきだ、と私は考えました。そしてだんだんわかってきたのは、コラボレーションと営業は奥が深いということです」とスアレス・オルドニェス氏は語る。
彼によると、企業のトップが認識しているのは、営業の人たちはSlackとSalesforce以外のものにも接続する必要があることです。たとえば彼らはGoogleカレンダーやAsanaやJiraなどのツールに接続して1つの場所からフォローアップを自動化したいと考えている。
「Momentumは当初の構想から変更して、上記のような一連の仕事を効率化するプラットフォームになりました。Jiraへ行ってセキュリティチームのためのチケットを提出するやり方を知るのではなく、Momentumへ行って手を挙げ、単純に『セキュリティレビューが必要なんだ』といえばいい。そしてMomentumは、行き先を見つけたり、チケットを作ったり、その営業のためのチケットの中にある商談に関するすべての状況を共有したり、営業は現時点では何もすることがない、といったこともコードにしている」とスアレス・オルドニェス氏はいう。
彼によると、商談室の機能はまだ存在しながらも、タスク駆動型の機能もある。計画では、このことをベースとしてSlackの中に同じく自動化されたワークフローの完全なプラットフォームを作る。例えば割引率の承認を得たり、営業のための支援を技術の部門に求めるといったワークフローだ。
同社は8月にシードラウンドを終えた後、14人目の従業員を迎えた。同社の創業メンバーはダイバーシティに富んでおり、COOのAshley Wilson(アシュリー・ウィルソン)氏はCEOであるスアレス・オルドニェス氏の妻、それにCTOのMoiz Virani(モイズ・ビラーニ)氏なども含め、同社はチームのダイバーシティに極力気を遣っている。
「ダイバーシティとインクルージョンについては、上からも指示されている。投資家のうち1社は、投資条件にそれを含めている。同社を投資家に迎えるためには、それに従わざるをえなかった」とスアレス・オルドニェス氏。まだ初期である現時点でも取締役会の半分は女性であり、またラウンドに参加した投資家のパートナー3名のうち2人は女性だ。
同社はパンデミック中の2020年にローンチした。「最高にクレージーなのは、そのときすでに社員は6名いたし、顧客もいました。数百万ドル(数億円)を調達していました。それで、本社はどこだったかというと、自分の家のキッチンテーブルだったんだ。ひどいもんだね」とスアレス・オルドニェス氏は回想している。
現在、同社は共有スペースも利用しているが、キッチンのテーブルのようにみんなが一緒にいる方が実感があると彼はいう。「半年前にはリモートもやったけど、みんなが一緒にいないと、どうも仕事の実感がないね」。
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画像クレジット:Visual Generation/Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)