マイクロソフトのOffice 365のコンポーネントのひとつでコラボレーションプラットフォームのMicrosoft Teamsは、登場以来約2年で大きな数字を達成した。Teamsは、Office 365を使って仕事をする人々をそのエコシステムの中にとどめる役割を持っている。
マイクロソフトは米国時間3月19日、50万社以上がTeamsを使っていると発表した。ユーザーの総数は発表されていないが、50万社のうち150社には1万人以上のユーザーがいて、その150社だけで150万人を大幅に超えるとしている。
この発表と同時に、マイクロソフトはTeamsにこれから搭載される新機能の数々も明らかにした。これまで以上に多くのマイクロソフトのツールとネイティブに統合することで、Teamsの機能は増え、より幅広く使えるようになるという。
同社ワークプレイスコラボレーションのゼネラルマネージャー、Lori Wright氏はインタビューでこう語っている。「職場の厳密な階級組織は変化し、インクルーシブで透明な環境になってきています。私たちはこうした傾向は世界中で起きていると見ていて、このことがテクノロジーを新しい形へと向かわせています」
実際、新たに搭載される機能はインクルージョンの傾向とユーザーに応じてプラットフォームをよりパーソナライズすることに対応したものだ。新機能には、背景のカスタマイズや、コンテンツを撮影してテキストよりも効果的なやりとりをするためのカメラのサポートなどがある。また、プレゼンテーションを作成したり取り込んだりして手書きで書き込めるMicrosoft Whiteboardも統合される見通しだ。
ほかには、聴覚に障がいがある人やオーディオを使えないまたは聞けない人に役立つライブキャプションが追加される。またセキュリティ面では、プライベートチャットをするためのセキュアチャネル、コンプライアンスを実践しチャネル間の潜在的なコンフリクトを防ぐための「情報障壁」、機密情報を共有できないようにしてデータ損失を防ぐスクリーニング機能も追加される。
そしてライブイベントもサポートされ、ユーザーはTeams上で最大1万人に向けてブロードキャストをすることができるようになる(参加者はTeamsのユーザーとして登録されている必要はない)。
このように、Teamsは数々の重要なアップデートを予定している。マイクロソフトはTeamsをSlackのような「ナレッジワーカー」向けの製品として登場させたが、その後はフロントラインからバックオフィスまであらゆる社員が活用できるような包括的なアプローチを強調している。
Slackが特に優れている部分として他社製アプリとの統合があるが、マイクロソフトの今回の発表ではTeamsに統合できるアプリの数はアップデートされていない。しかし同社は、すでにOffice 365を使っている1億5,500万のユーザーが最終的にはTeamsも使うようになることに重きを置いている。Wright氏は「マイクロソフトのサービスをできるだけ多く利用し、サービスや構造の情報を活用するためにMicrosoft Graphも取り入れています」と語っている。
マイクロソフトはコラボレーションの分野で他社に遅れをとっているが、ユーザー数の伸びは目覚ましい。Facebookは2月に、Slackの競合製品であるWorkplaceのユーザーが200万人を超え、その中にはユーザー数が1万人を超える企業が150社あると発表した。一方、Slackは1月に、1日のアクティブユーザーは1,000万人以上で、Slackのプラットフォームを使っている組織の数は85,000にのぼると発表した。
注目すべきこととして、Slackは米国時間3月18日にエンタープライズに訴求するタイムリーな発表をしている。Slackはエンタープライズの顧客に対し暗号キーへのアクセスを許可するというものだ。これはエンタープライズの分野でビジネスを成功させるために重要な要素だ。
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(翻訳:Kaori Koyama)