Slackの成長ぶりは常軌を逸している

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山ほどのスタートアップが、エンタープライズ向けソフトウェアを魅力的にしようとしては失敗してきたが、Slackはバイラルにした。その成長ぶりは過去に例を見ない。Slackの日間アクティブユーザー数および有償ユーザー数はわずか1年間にいずれも3.5倍に伸びた。殆どの人は未だに聞いたことがないだろうが、この勢いからすると、すぐにその名は知れ渡ることになるだろう。

この成長がSlackにもたらすものは、ネットワーク効果だ。一人利用者が増えるたびに、全員にとってサービスが強力になる。社外で話を聞いたり使った人たち一人ひとりが、会社全体にSlackウィルスを蔓延させる可能性は高い。そして、ライバルたちはSlackのチャット機能を真似することはできても、コミュニティーを真似することはできない。

Slackの日間アクティブユーザー(DAU)と、有償ユーザー数の成長の記録は以下の通り:

  • 2013年8月 – 開業
  • 2014年2月1日 – 1万6000 DAU
  • 2014年8月12日 – 14万0000 DAU, 40,000 有償ユーザー数
  • 2014年10月31日 – 26万8000 DAU, 73,000 有償ユーザー数
  • 2015年2月12日 – 50万 DAU, 135,000 有償ユーザー数
  • 2015年4月16日 – 75万 DAU, 200,000 有償ユーザー数
  • 2015年6月24日 – 119万 DAU, 300,000 有償ユーザー数
  • 2015年10月29日 – 170万 DAU, 470,000 有償ユーザー数
  • 2015年12月15日 – 200万DAU, 570,000 有償ユーザー数
  • 2016年2月12日 – 230万DAU, 675,000 有償ユーザー数
  • 2016年4月1日 – 270万 DAU, 800,000 有償ユーザー数

これらのユーザーはメッセージをチェックするためだけに来ているのではない。彼らはSlackに住んでいる。平均的ユーザーは平日にSlackで10時間過ごしている。同サービスには、2月時点で平日1日当たり3.2億分のアクティブ利用があり、これは平日1ユーザー当たり140分に相当する。

Slackの目標はそれだけではない

Slackは、FacebookとPalantirから強力な幹部を引き抜いており、最近、聡明なApril Underwood を製品担当VPに昇格させた。投資家からはSlack上で開発するデベロッパーのために8000万ドルの資金を調達した。そして、ボイスチャットやビテオ通話等の強力な新機能も開発中だ。

Slack New Features

そして今日(米国時間4/1)、同社は新たに2億ドルの資金調達を38億ドルの評価額で完了し、総調達額を5.4億ドルとした。これで買収や新製品開発、計画中のIPOに向けて十分な現金が手に入った。

Slackは同サービスの利用規範を操って、人々の生産性を高め、アニメGIF満載の騒がしいチャンネルに圧倒されないようにする必要がある。楽しさも重要だが、 カジュアルの度が過ぎると本来の仕事に集中できなくなる。

そして市場制覇に向けて、Slackはさらに大きな機会を伺っている ― 企業の個人識別レイヤーになることだ。コミュニケーションは会社の全員に必要なので、全員にSlackが必要であり、他の業務ツールとは異なる。つまり、個人識別プロバイダーとなって他のアプリのログインを引き受けることも可能になる。アプリはビッグネームのサービスでもSlackが投資した若きスタートアップでもいい。

もしSlackが、あらゆるエンタープライズソフトウェアのハブになれば、他社への置き換えは極めて困難になる。Slackは成長しているだけではない。ワニでいっぱいの濠に守られたロケット船だ。

Slack Trophy

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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