スマートフォン・タブレット向けニュース閲覧アプリ「SmartNews(スマートニュース)」が3日、300万ダウンロードを突破した。運営元のスマートニュースによれば、月間アクティブユーザー(MAU)は75%、日毎のアクティブユーザー(DAU)は38%。1月末時点では、66媒体に月間100万超のPVを誘導していることも明らかにし、メディアへのトラフィック誘導でも存在感があることをアピールしている。
SmartNewsは、「経済」や「エンタメ」などのジャンルの中から読みたいトピックの記事を閲覧できるアプリ。Twitterに投稿されるウェブページをリアルタイムに解析し、話題の記事を配信している。特定の媒体の記事を表示する「チャンネルプラス」といった機能もあり、TechCrunchや姉妹誌のEngadget 日本版を含む21社32媒体のチャンネルがある。3日には期間限定で読売新聞社の「ソチ五輪」チャンネルを開設した。
2013年4月には元アイティメディア代表取締役会長の藤村厚夫氏が執行役員として参画。その後は藤村氏を中心にメディアパートナーとの協業を進め、2月時点では55社102媒体と提携している。このうち、66媒体に月間100万PV以上を誘導していて、「いくつかの媒体からは、スマートフォンのPVはSmartNews経由が一番多いという声を聞く」(藤村氏)など、トラフィック誘導で影響を与えているようだ。
なお、SmartNewsではウェブページのページビューに相当する数字を「Flip」として集計している。これは、ユーザーが記事をタップしたり、チャンネルを変えるなど、アプリ内で画面遷移を伴うアクションの総数で、スマートニュースによれば月間のFlip数は11億に上るのだという。
原則としてスマートニュースと媒体のパートナー提携に金銭は発生しないが、「102媒体のうち数社には記事のライセンス料を支払っている」(藤村氏)のだとか。メディアパートナー契約を結んだ媒体に対しては、SmartNewsのアクセス解析ツールを提供したり、記事を簡易的なレイアウトに変換した上で表示する「Smartモード」で媒体が指定する広告を掲載するための取り組みを進めている。
Smartモードは表示が高速化されるメリットがある反面、媒体の広告が掲載されなくなる。このため、一部では「コンテンツのタダ乗り」が指摘されていた。Smartモードでの広告掲載はこうした指摘に対応するためのもので、現在は媒体が指定するランディングページの掲載、アドサーバーやアドネットワーク経由の広告配信を検証していて、実現した際には広告収益をすべて媒体に還元する。「トラフィックを送るだけでなく、Smartモードを通じてのマネタイズの可能性も見えてきた」(藤村氏)。
媒体の収益拡大に向けたモデルを確立しつつあるスマートニュースだが、自社の収益化はどのように考えているのか? この点について同社取締役の鈴木健氏は、「まずはユーザーの利便性を高めて、メディアの収益化の道筋を作ることを優先する。自社の収益化はさまざまな方法を研究している。何年後という期間ではないが、可能な限り早く我々も収益化していきたい」と話している。