Snap、Q2決算発表後、株価12%ダウン――売上も成長も予測に届かず

チャット・サービスのSnapchatを運営するSnapの第2四半期の決算が発表された。ユーザー数の伸びはライバルのInstagramの圧力を受けて鈍化し、このソーシャルメディアはまたしても下り階段を経験することとなった。

SnapはDAU(1日当たりアクティブ・ユーザー)を730万人追加し、1億7300万とした。これは4.2%の成長率で、第1四半期の成長率、5%を下回った(このときのDAUは1億6600万人)。Snapは売上、1億8160万ドル、1株あたり利益は0.16ドルの損失となり、これも予測を下回った。アナリストの予想は1億8580万ドルの売上、1株あたり0.14ドルの損失、ユーザー数1億7500万だった。

Snapの今期の損失は4億4300万ドルとなり、 前年同期の1億1600万ドルの4倍近くに急増した。つまり売上が伸び悩む中でマーケティングとセールスのコストは大きく膨張していることになる。

TechCrunchが取材した投資家は「DAUの伸びが少なくとも500万、総数で1億7100万に届き、ユーザー当たり売上は1.05ドルから1.10ドル程度」となることを期待していた。しかし現実には、ユーザー当たり売上は1.05ドルだった。ただし第1四半期からは16%という健全な伸び率を示した。前年同期比では売上は153%のアップとなり、第1四半期の1億4960万ドルからも21%の成長となっている。こうした売上の増大にもかかわらず、ユーザー数の頭打ち傾向は投資家を失望させていた。

今日(米国時間8/10)の四半期決算発表前のSnapの終値は13.69ドルだったが、発表を受けて時間外取引の株価は12%急落して12ドル台となった。

Snapは売上の「その他」の内訳を示していない。これには例のサングラス・タイプのカメラも含まれる。つまりは開示する必要があるほどの売上を確保することはできなかったのだろう。

明るいニュースはSnapchatが売上への貢献がもっとも期待できる北米市場で400万の新規ユーザーを得たことだ(前の2半期の増加は300万)。またSnapは「それ以外の地域」におけるARPU〔ユーザーあたり平均売上〕 を前期の0.19ドルから今期は0.29ドルへと大きく増やすことに成功している。つまりSnapは帯域幅の狭い途上国でもマネタイズを図る方法を学んでいることになる。

投資家はSnapのユーザーベースの頭打ちは一時的なものであるよう願っている。Snapは2016年の第2四半期にはDAUの伸び率17.2%を記録したものの、InstagramがStporiesのクローンをリリースして攻勢を開始すると第4四半期には成長は3.2%にまで劇的に減速した。今期も第1四半期の5%成長を上回ることができず、株価の足を引っ張ることとなった。【略】

Snapが上場以前に資金を調達した際の会社評価額220億ドルや上場直後の株価上昇による314億ドルの時価総額の水準を取り戻したいなら多数の抜本的対策が必要だろう。ユーザー別に適切なフィードを表示するアルゴリズム、外部ブランドや有力なインフルエンサーとの良好な関係などを構築し明確な成長戦略を打ち出すことによってFacebookの影を打ち払う必要がある。ただし、こうした改革にはSnapがここまで成長した原動力となってきたプロダクト哲学と反するものが含まれるかもしれない。

Snapの改革案についてはわれわれの記事、 8 ways to fix Snapchat(Snapchat改革のための8つの方法)を参照。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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