2021年、Snapchat(スナップチャット)をより頻繁に使うようになったのは、あなただけではない。先に開催された第2四半期業績説明会で、Snap(スナップ)のCEOであるEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は、プラットフォームの売上高とデイリーアクティブユーザー数が過去4年間で最高の伸び率で増加したことを発表した。現在、Snapchatのデイリーアクティブユーザー数は2億9300万人で、2020年から23%増加している。
Snapは2017年に240億ドル(約2兆6530億円)の評価額で上場したが、その少し前に、Instagramが当時のSnapの独自機能であるStories(ストーリーズ)をクローンしてしまうという大変な苦難を経験した。Instagram Stories(インスタグラム・ストーリーズ)の開始後、Snapchatの成長は82%も低下した。そして、Snapchatがアプリのインターフェイスを一新すると、女優のKylie Jenner(カイリー・ジェンナー)氏が「もうSnapchatは使わない」とツイートし、同社の評価額は12億ドル(約1327億円)も下落した。
sooo does anyone else not open Snapchat anymore? Or is it just me… ugh this is so sad.
— Kylie Jenner (@KylieJenner) February 21, 2018
それで〜、他にもSnapchatやめちゃった人いるかな?それとも私だけかな…ああこれってとっても悲しい。
しかし、Snapchatは持ちこたえ、カムバックを果たした。その収益は、2020年の第4四半期に過去最高の9億1100万ドル(約1007億円)に達した後、次の四半期には7億7000万ドル(約851億円)にまで落ち込んだ。そして2021年第2四半期になり、Snapchatの収益は、これまでの最高額を超えて9億8200万ドル(約1086億円)に達したのだ。
関連記事:SnapchatのSnapが予想を大幅に上回る収益で第3四半期後、株価急騰
この第2四半期のアプリの成長は、パンデミックの最中に支出を減らした広告主が戻ってきたことと、ロックダウン中にアプリに集まってきたユーザーがそのまま使い続けていることによるものだ。多くのソーシャルメディアと同様に、Snapchatもパンデミックの間に収益とユーザー数を伸ばしたが、これは単に、ユーザーたちが卒業したアプリを再び利用しているという意味ではない。TikTokが爆発的に普及し、クリエイター経済が活性化する中で、SnapchatはTikTokのクローンであるSpotlight(スポットライト)を開発し、拡張現実のアプリケーションに投資することで対応を続けた。
スピーゲル氏は「この四半期は、AR(拡張現実)プラットフォームで大きな進展がありました」と述べている。「毎日平均して2億人以上のSnapchatユーザーのみなさんがARを使い、20万人以上のクリエイターの方々がLens Studio(レンズスタジオ)を使ってコミュニティのためにARレンズを提供なさっています」。
2021年6月、Snapchatは、ユーザーをピクサー映画のキャラクターのように見せる「Cartoon 3D Style Lens」(カートゥーン3Dスタイルレンズ)で話題になった。スピーゲル氏はこのレンズについて「Snapchatの内外で話題になるレンズの力を見せつけた」機能だと述べている。しかし、Snapchatは楽しい顔フィルターだけでなく、ARを使ってeコマースのパートナーにも訴求している。このアプリは、Walt Disney World(ウォルトディズニーワールド)、Smile Direct Club(スマイルダイレクトクラブ)、Zenni Optical(ゼニオプティカル)、e.l.f. Cosmetics(e.l.fコスメティクス)、Ralph Lauren(ラルフローレン)などのAR体験を開発してきた。こうした機能には、時計、ジュエリー、アイウェア、ハンドバッグ、メイクアップ、そして洋服の試着なども含まれている。Snapchatは、5月に開催されたパートナーサミットで、ユーザーが友人の服装をスキャンして、似たようなスタイルのおすすめのショッピング情報を見つけることができるようにするアップデートを公開した。
関連記事
・これで誰でもディズニープリンセス、願いをかなえたARアプリへの捧げ物はあなたの生体情報!?
・SnapchatにARとカメラを活用したコマース重視の新機能追加
SnapのチーフビジネスオフィサーであるJeremi Gorman(ジェレミ・ゴーマン)氏は「当社の技術を発展させ、ARの普及を促進するためには、まだまだ多くの課題がありますが、カメラの長期的な可能性に投資し続ける当社のパートナーの皆さまが、手にしている結果には感動しています」と述べている。「私たちは長期的な可能性に自信を持っていますし、拡張現実によるショッピングや商取引を倍増させることに興奮しています」。
3月にSnapは、ベルリンに拠点を置くスタートアップ企業Fit Analytics(フィットアナリティクス)を買収した。Fit Analyticsは、買い物客がオンラインショッピングで適切なサイズの服や靴を見つけられるようサポートする企業だ。SnapのARへの投資と組み合わせることで、いずれはARで服のサイズを確認して注文できるようになるかも?このような技術の応用は、特に10代の若者の摂食障害の割合が増加している中では、注意深く対応する必要がある。
eコマース以外にも、SnapchatはHBO Max(HBOマックス)やUniversal Music Group(ユニバーサルミュージックグループ)などのエンターテインメント企業との戦略的パートナーシップを模索し、AR体験ができるメガネSpectacles(スペクタクルス)の開発をさらに強化している。もちろん、FacebookもARグラス を開発している。両社にとって、Snapの最近の成功は、AR体験の普及と価値の高まりを示しているのだ。
関連記事
・SnapchatにARとカメラを活用したコマース重視の新機能追加
・Snapが動画で使える音楽の拡充でユニバーサルミュージックと提携
・SnapがARグラス「Spectacles」の新世代バージョンを発表
・FacebookがARが日常生活になるスマートグラスを2021年に発売、Ray-BanブランドのLuxotticaともコラボ
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Snap、Snapchat、決算発表
[原文へ]
(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)