SnapchatがTikTok不安に乗じて8月絶好調、当月だけで2850万回インストール

TikTok(ティクトック)の将来に関する長引く不安が、8月のSnapchat(スナップチャット)に大きな恩恵をもたらしたかもしれない。あるいはバイラルに広がった、目をディズニー風に変えるフィルター(PopSugar記事)のおかげなのか。いずれにせよ、アプリストア調査会社のSensor Tower(センサータワー)の暫定データによると、SnapchatのモバイルアプリはiOSとAndroidを合わせて8月だけで2850万回インストールされた。これは2019年5月に4120万回インストールされて以来の月間記録だ。

ただし、2019年5月はSnapchatの歴史では例外的だった。2019年5月以外に今年8月の月間ダウンロード数を超えたのは2016年12月だけだったことをSensor Towerのデータは示している。

同社の調査によると、Snapchatのダウンロード数は2020年8月に対前年比29%増を記録し、前月比も9%増だった。どんなトレンドの組み合わせがSnapchatに先月のダウンロード数をもたらしたのかはよくわからない。

しかし、今ソーシャルアプリ業界の関心が集中しているひとつの話題は、米国でのTikTok禁止の可能性にまつわるニュースだ。禁止に関するニュース報道はすでにここ数週間のアプリストアランキングに明白な影響を与えている。8月にTikTokの直接の競合アプリである、Likee、Byte、Dubsmash、Trillerなどの米国の週間アクティブユーザーは明らかな増加を見せた。しかし、トランプ氏の大統領令で中国製ビデオアプリが実際に米国から追放されたとき、はっきりとTikTokに取って代わるであろう製品は出てきていない。

TikTokの直接ライバルではないSnapchatも、短尺ビデオアプリを好む同じ若者層を引きつけようとしている。今月Snapchatは、TikTokユーザーへのアピールを狙う新しい音楽機能をスタートさせる計画を発表した。今秋開始予定の同機能を使うと、ユーザーはTikTokと同じように動画に音楽を付加できるようになる。Snapは、Warner Music Group、Warner Chappell、Univerasal Music Publishing Group、NMPAメンバーのMerlinなどといった音楽業界のトップパートナーと各社のコンテンツをSnapchatアプリで使用するライセンス契約を結んだことを発表した。

画像クレジット:TechCrunch(App Storeのスクリーンショット)

Snapchatは7月にも新機能の「Minis」を公開(未訳記事)した。これはSnapchatのチャット画面で動作する一連のミニアプリだ。HTMLを使ってつくられたアプリは、チケット購入やHeadspaceを使った瞑想、友だちとのコラボレーションなどをアプリを離れることなく行える。

SnapchatはApp Storeの目立った位置にいることの恩恵も受けている。アップルは今、App Storeの「App」画面に「New to iPhone?」と名付けた編集者の集めたお勧めアプリを掲載している。ここでは初めてのiPhoneユーザーがダウンロードしたがるお勧めアプリの一覧を、スクロールダウンすることなく見ることができる。

ダウンロード数増加の理由としてほかに考えられるのが宣伝費の増加で、大型アプリの提供元ではよくあることだ。ただしSnapchatは8月に何を変えたかについて具体的にコメントしていない。

さらに言ってしまえば、 #disneyfilterのタグを付けられた6640万本のTikTokビデオが、8月のSnapchatに幸運をもたらしただけかもしれない。

Sensor Towerの最新Snapchatデータは暫定値とされており、これは8月26日までのデータしか対象になっていないためだ。8月の残りの日々が算入されれば結果は多少変わるかもしれないが、あってもごくわずかだろう。

なお上記の数値は当初Sensort Towerのフィナンシェサービスユーザーの1社がアナリストノートの中で報告したもの(Benzinga記事)で、Sensor Towerのデータレポーティングチームは公表していない。しかし、同社はTechCrunchにデータは正確であると確認した。

Snapchatは7月のQ2決算時点で、1日当たりアクティブユーザー数2億3800万人で4月の2億2900万人から4%近く増加したことを報告(CNBC記事)した。新規ダウンロード数についてはコメントしていない。

画像クレジット:Denis Charlet / AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook