SpaceXによる約897億円新資金調達をSECへの提出書類で確認

CNBCが報じたSpaceXの先週の8億5000万ドル(約896億9000万円)の資金調達に関して、公式の声明などは何もないが、米証券取引委員会(SEC)は米国時間2月23日、そのラウンドを確認した。SpaceXの資金調達は同社の評価額740億ドル(約7兆8090億円)がベースだといわれており、1株あたりの価値では420ドル(約4万4320円)となる。

Bloombergによると、投資企業Sequoiaがこの大きな資金調達をリードし、同社は2020年のラウンドと今回にかけて、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いる宇宙企業に全体で6億ドル(約633億1000万円)ほどを注入したという。CNBCの報道によると、さらに既存株の二次売却により同社には7億5000万ドル(約791億3000万円)の資本が生まれ、SpaceXが使える新資金は16億ドル(約1688億1000万円)となったという。これは460億ドル(約4兆8530億円)の評価額での、20億ドル(約2110億円)の調達した2020年8月と比べてもそれほど見劣りしない。

しかし、それが1年弱の間での調達となると、巨額と言わざるをえないだろう。しかし、非上場企業も含めて、一挙にこれだけの資本が必要な企業はあまりない。2年近い社史の前半に得た資金で稼ぎの良い打ち上げビジネスを構築できたが、それによってひと段落したわけではなく、今度はさらに巨額な初期費用を要する大きな新しいプロジェクトを着々と進めている。

現在、SpaceXはStarshipの新たなプロトタイプを急速に製造している。それは再利用可能な次世代型ロケットで、積載量は現在のDragon宇宙船とFalcon 9カーゴノーズコーンの数倍だ。プロトタイプは何度か飛ばしたが、着陸ミスで2つを失った。同社は通常、2つ以上のプロトタイプを同時に作るというペースを何カ月も維持しているが、ロケットとそれを動かす新エンジンは製造は高度な手作業によるものだ。

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しかも同社は、Starlinkも開発している。それはグローバルなブロードバンドのサテライトコンステレーションで、現在の1000基強から、最終的には全世界をカバーする1万2000基を目指している。その大規模展開と現在の一部北米地区を超えた広範な供給開始を早めるためにSpaceXは、専用のFalcon 9ロケットを確保し、それぞれに60基のStarlink衛星を搭載している。このミッションでは、カーゴの顧客は自社になるため、すべて営業経費となる。マスク氏の推計では、その総額が約100億ドル(約1兆550億円)となる。

StarshipとStarlinkという二大プロジェクトは、初期費用がとても大きいが、長期的なポテンシャルも大きい。Starshipの高高度テストと、Starlinkのサービス開始の間で、2つのプロジェクトが良い結果を出す度に評価額が急上昇していく。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX資金調達

画像クレジット:Bill Ingalls/Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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