Spotify、ポッドキャストにアップルのような5つ星評価システムを導入

ポッドキャストを聴いたことがある人なら、エンドロールでホストが「Apple Podcastにレビューを残してください」というのを聞いたことがあるだろう。これからは「Apple PodcastsとSpotifyにレビューを残してください」という文言に変わるかもしれない。

Spotify(スポティファイ)は米国時間12月16日、ポッドキャストのディスカバリーを向上させようと、Apple(アップル)と同様の5つ星評価システムを導入することを発表した。同社によると、この機能はSpotifyでポッドキャストが配信されているほぼすべての市場で、今後数日のうちに展開される予定だという。

Appleと違い、この機能は現時点では星評価のみをサポートし、番組のレビューを書くことはまだできない、とSpotifyはTechCrunchに説明した。

Spotifyはブログ投稿で、その意図は「リスナーにお気に入りのポッドキャスト番組をサポートする機会を与え、クリエイターとリスナー間の双方向のフィードバックループを可能にすること」だと書いている。しかし、ポッドキャスティングというメディアが出現して以来、5つ星のAppleレビューを求めてきたポッドキャスターたちは、星の評価が実際にどれだけ番組の宣伝に役立つのか慎重だ。

ポッドキャスティングでは、立ち上げから数週間で多くの評価レビューを獲得すれば、Apple Podcastsの注目すべきチャート「New and Noteworthy」にリスト入りする可能性が高まり、番組の成長が加速するというのは、十分に裏付けがある神話だ。それに、プロのポッドキャスターたちは、Apple自身が評価やレビューはチャートに影響を与えないと言っていることを指摘している。

Spotifyの担当者はTechCrunchに「評価はリスナーとなる人が番組の質をすばやくチェックするためのすばらしい方法ですが、現時点では(この機能の初期段階なので)番組の評価はポッドキャストチャートやパーソナライズされたレコメンデーションに織り込まれません」と述べた。

つまり、これはファンがポッドキャストをどう思っているかを示すツールではあるが、今のところ番組がSpotifyのチャートやキュレーションリストに載るためのものではない。

Spotifyが2019年に買収したポッドキャスト作成プラットフォームのAnchor(アンカー)は、ポッドキャスターがリスナーに評価を残すよう促す方法について、ブログ記事で提案している。「この番組は好きですか。Spotifyの番組ページに評価を残して、私たちに教えてください」と、ある例には書かれている。

独立系のポッドキャスティング集団Multitude Productionsのクリエイティブ部門責任者であるEric Silver(エリック・シルバー)氏は「クリエイターとして、これはマーケティングの動きのように感じられます」と述べている。「私はApple Podcastsで評価やレビューをするよう、人々には一切言っていません。なぜなら私が気分良くなること以外に何も起こらないことを知っているからです」。

2021年12月初めにソーシャルメディア上でトレンドとなったSpotify Wrappedと同様のマーケティング戦術だ。自分の音楽やポッドキャストの視聴習慣を友人と共有するのは楽しいが、同時にSpotifyにとっては大きなPRの成功でもある。

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Spotifyの新しい評価システムが配信に影響を与えないとしても、シルバー氏は少なくとも数週間はリスナーがMultitudeの番組をSpotifyで評価するよう促すだろう、と話す。Spotifyは最近、米国のポッドキャストリスナー数でApple Podcastsを上回った。なので、潜在的な視聴者の大部分があなたの番組のページを訪れたときにその評価を見ることになるなら、ファンにあなたの番組を評価するよう求めることは理に適っている。

YouTube、TikTok、その他のクリエイティブなプラットフォームは、潜在的なオーディエンスに、あなたが何人のフォロワーを持っているかをすぐに表示する。しかし、ポッドキャストのダウンロード数や購読者数は、ポッドキャスターが言わない限りわからない。評価やレビューが人気の指標になるとはいえ、この点がポッドキャスティング業界と、ビデオのようなよりアルゴリズムが重視される他のメディアとの違いだ。

「理論的には、アルゴリズムはあなたを助けるはずです。しかし、これはこの時代の技術の話ではないでしょうか」とシルバー氏はいう。「とても複雑です。アルゴリズムがあればもっと発見があるのに……というような話ではなく、YouTubeやTikTokのような問題が発生すると、その逆になってしまいます」。

YouTubeやTikTokといったプラットフォームのクリエイターは、アルゴリズムが好むと思われるコンテンツを作るよう動機付けられていて、おそらく視聴者が好むと思われるものよりも作っている。しかし、メディアであっても、それはアルゴリズムに依存したものではなく、ポッドキャスティングや、Twitchストリーミングのように、固有のバイアスが存在する。2021年初め、Twitchの支払いデータが流出した際、最もギャラの高い女性ストリーマーであるPokimaneは、Twitch全体のギャラの順位で39番目に止まることが明らかになった。ポッドキャスティングも、その多様性という点ではまだまだだ

Spotifyはポッドキャストの評価をアルゴリズムによるレコメンドに使っていないとはいえ、ポッドキャストを見つけやすくするための大きな計画の一部である可能性はある。Spotifyはポッドキャストのディスカバリーを促進しようと、2021年6月にPodzを買収した

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短期的には、Spotifyは評価を通じて番組を良く見せる必要があるため、ポッドキャスターが視聴者にSpotifyを利用するように仕向けるための巧妙な動きといえる。これは本質的に悪いことではないが、SpotifyとAppleがポッドキャスティングのエコシステムでより大きなシェアを獲得しようと競争しているため、クリエイターはより大きな技術競争の渦中に巻き込まれているように感じられるかもしれない。

画像クレジット:Spotify

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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