車を運転しているときに音楽を聞く人は非常に多い。音楽ストリーミング・アプリのSpotifyとカーナビ・アプリのWazeがインターネット時代にふさわしく連携、シームレスに動作するようになった。Wazeアプリ内からSpotifyのプレイリストが再生できる。またSpotifyのアプリ内でWazeのカーナビ案内が聞ける。この提携でWazeアプリ内からSpotifyのプレイリストを切り替えることもできる(ただし車が完全に停止しているときのみ)。
新機能は全世界で利用可能だ。ただしAndroid版のみで、iOS版についてはコメントが得られなかった。
この提携はいろいろな意味で興味深いが、まず使い勝手から検討してみよう。
これまでカーナビ・アプリを利用中にSpotifyで音楽を聞こうとしたユーザーならよく知っているとおり、両者の関係には問題があった。
カーナビが音声案内をすると曲が飛んだりした。私のiPhoneではAppleのMusicプレイヤーがデフォールトになることもあった。“Waze and Spotify”というキーワードでGoogle検索するとユーザーが各種の問題で悩んでいることが分かる。両アプリの連携はこうした使い勝手の悪さを大きく軽減するという。
また画面表示も改善された。Spotifyアプリを立ち上げているときはナビの案内は短いバージョンが表示されるし、Wazeアプリにいるときは再生中の曲の紹介が短いバージョンになる。いちいちSpotifyアプリに移動しなくても曲をスキップしたり別のプレイリストに切り替えたりできる。.
Waze側からすると、ナビとの統合の相手方としてSpotifyを選んだところが重要だ。
Wazeの親会社はGoogleで2013年にWazeを11億ドルで買収している。Googleには独自の音楽サービスがある。しかし有料音楽サービスとしてSpotifyは世界的なリーダーだ。ユーザーは1億人以上、うち5000万人が有料契約者だという。つまりWazeから見るとこの連携が実際に利用される可能性がいちばん大きい相手ということになる。
Wazeに取材したところでは、Spotifyはこうしたアプリレベルでの提携では最初の相手だという。今後Wazeが提携の相手をさらに広げていくのかどうか注目される。
音楽ストリーミング・アプリにはPandora、Apple Music、Tidal…いやGoogle Playもある。カーナビと同時に利用されるアプリとして音楽ストリーミングはまず最初に思いつくが、車両の位置情報を利用するアプリは多数ある。たとえばどこかでランチを取ろうとすればFoursquareとかYelpを検索するだろう。こうしたアプリとの提携は便利に違いない。
しかし当面Wazeは他の面で存在の拡大に専念するようだ。
昨年、WazeはTransport APIプログラムをスタートさせた。これはクラウドソーシングと高度なアルゴリズムによって決定されるWazeのナビゲーションをサードパーティーの運輸系アプリにフィードするものだ。オンデマンド配車サービスのLyftとの提携の場合、ドライバーがLyftアプリを利用しているときにWazeによるルート案内が利用できるようになった。またWazeは新しいカープールの方式を別のレイヤーのサービスとして徐々に構築しつつある。
Spotifyにとっても、アプリ自身の改良とは別に、Wazeとの提携は注目すべきものだ。このプロジェクトは使い勝手を改善し、Spotifyアプリの利用を増やす効果が期待できるだろう。Spotifyでプレイリストが再生されるのは車内が一番多いはずだ。ドライバーは運転に集中しなければならないので、いちいち選曲できない。そこでプレイリスト再生とナビゲーションとのギャップを埋めるこうした連携は大いに歓迎されるはずだ。遅すぎたくらいかもしれない。
この機能を利用するためにはAndroidスマートフォン上に双方のアプリがインストールされている必要がある。どちらかのアプリの設定を開けば連携を実行できる。
Wazeから得た情報によって記事をアップデートした。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)