Spotify(スポティファイ)は2021年2月に、リスナーの投票やQ&Aを利用してポッドキャストをよりインタラクティブにする新機能のベータテストを開始していた。そして現地時間9月30日、Spotifyはこれらの機能を、同社が提供する音声コンテンツ制作・配信ツール「Anchor(アンカー)」を通じて、すべてのクリエイターが利用できるようになると発表した。
これらの新機能を活用すれば、Anchorを使ってポッドキャストを制作・配信しているクリエイターは、エピソードと一緒に質問や投票を投稿できるようになる。現時点では1つのエピソードに、1つの投票と1つのQ&Aのみを追加することができ、複数の投票やQ&Aは付けられない。
そのポッドキャストがSpotifyで公開されると、Spotifyモバイルアプリでは、ポッドキャストのエピソードページの下部に投票やQ&Aが表示される(iOSとAndroidのどちらも対応。ただしブラウザやデスクトップアプリでは表示されない)。リスナーは、アプリ内のプロンプトに従って、Q&A機能にはテキストで、投票機能ではクリエイターが設定した選択肢の中から該当するものを選んで、質問に回答することができる。
リスナーは投票に参加すると、すぐに他のポッドキャスト視聴者の投票結果を見ることができ、自分と同じ回答がどのくらい支持されているかを確認できる。しかし、Q&Aの回答は、ポッドキャスターのみに非公開で届けられる。ポッドキャスト制作者は、リスナーより届いた回答の中から、質問の下に表示させたい特定の投稿を選び、エピソードに固定表示することもできる。ただし、これらの回答には、リスナーのSpotifyユーザー名が表示されるので、この機能はその点を考慮して使用する必要がある。言い換えれば、この機能はポッドキャストで、ラジオのコールイン(聴取者が電話で参加する)のようなことを可能にするものだ。もっとも、リスナーの生の声や録音された音声ではなく、文字によるものという違いはあるが。
これらの機能は、今回の一般展開に先立ち、1年間にわたって数百人のクリエイターによるテストが行われてきた。その間にクリエイターは、Q&Aを利用して今後のゲストの提案を求めたり、番組に対する感想や意見を得たり、さらにはリスナーの反応を見たホストの発言を聞くためにリスナーの再訪を促すといったゲーミフィケーションの要素を番組に加えたりしてきたと、Spotifyは述べている。
この新機能は、日本を含む世界160の市場で、すべてのAnchorクリエイターとSpotifyユーザーが利用可能になっている。公式ウェブサイトによると、現在Spotifyは世界178の市場で展開されているとのことなので、全世界の市場というわけではない。しかし、大部分を占めている。
リスナーとの相互コミュニケーションは、Spotifyが従来のポッドキャスト体験を刷新するために取り組んできた方法の1つに過ぎない。同社は最近、有料のポッドキャスト配信や、音楽とトークを1つのコンテンツの中で一緒に楽しめる「Music + Talk」フォーマットの導入、そして「ライブ」ショーを開催するための「Spotify Greenroom(スポティファイ・グリーンルーム)」と呼ばれるアプリの展開なども開始している。
画像クレジット:Spotify
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)