Supership、SSP事業「Ad Generation」でスマホネイティブ広告を強化

Facebookオーディエンスネットワークを含むAd Generationのイメージ図

Facebookオーディエンスネットワークを含むAd Generationのイメージ図

2014年10月にKDDIが中心となって立ち上げたモバイルインターネットの新ポータル構想「Syn.」。このSyn.のプロジェクトに参画するKDDI傘下のスケールアウト、nanapi、ビットセラーが合併して立ち上がったのがSupershipだ。

同社ではこれまで3社で展開してきた事業に加えて、新事業の立ち上げを進めている。Syn.のアライアンス拡大も着々と進めているが、サイト上にあるプレスリリースを見ると広告ビジネスの会社の印象が強い。中でも旧・スケールアウトが展開するSSP「Ad Generation」が好調なのだそう。月間広告リクエスト数は160億インプレッション。2015年11月にはFacebookとのパートナー提携も発表。Facebookのオーディエンスネットワークによる広告配信も可能になった。

「サービスの開始は年半前。すでに競合がおり、最後発のサービスだった。だがまだアプリに強いSSPはウェブに比較すると少ない状況。SSPとして自由に使え、透明性の高いモノを無料で提供できるように考えた」—Ad Generationの事業を統括するSupership ジ・アドジェネの池田寛氏はこう語る。

あまりTechCrunchは広告の話題を取り扱ってきていないので改めて説明すると、SSPとはSupply-Side Platformの略称。複数のDSP(Demand-Side Platform:広告在庫の買い付けから配信までを管理する広告主側のツール)やアドネットワークから、メディア(アプリなどの「面」を持つサービスを含めてのメディアという意味だ)にとって最も収益性の高くなる広告を自動で選択・配信するツールを指す。

中の人が「最後発のサービス」と語るとおりで、配信規模で同社を上回る国内SSPはあるが(例えばジーニーの「Geniee SSP」で月間500億インプレッション、VOYAGE GROUPの「Fluct」は月間250億インプレッションをうたっている)、Ad Generationはスマートフォンアプリで導入が盛んだという。時期の詳細は明かされたなかったが、App Storeのランキング上位100アプリの40%がAd Generationを導入しているというケースもあるそうだ。

そんなAd Generationだが、今後はネイティブ広告の配信を強化したいと語る。

「comScoreが発表したレポートによると、84%のユーザーは1カ月に一度もバナーをクリックしないという話があった。またGoogleの発表では、モバイル広告の半数は意図しないクリックだという話もある。スマートフォンユーザーにとって、結局バナー広告は無駄で邪魔なモノでしかない」(池田氏)

とは言え、まだまだすべてのネイティブ広告が洗練されているかというとまた別の話。「記事だと思って読んだら広告だった」ということで媒体価値を落とす可能性もある。そのため、「文字の色を変え、通常の記事とは数ピクセル空けるなど、広告だと一目で分かるレイアウトを用意する。間違えて広告を押してくれるほうが儲かるかも知れないが、真面目にやっていく。広告でも有益な情報であればユーザーは広告を押すし、クライアントの商材価値も上がる。『バナー広告を捨てる』は言い過ぎだが、それくらいの気持ち」(池田氏)

池田氏はこういった取り組みの結果がFacebookとのパートナーシップにも結びついたと語る(なおSupership代表取締役社長の森岡康一氏はFacebook Japanの元副代表だ)。Facebook広告の売り上げは2015年通期で前年比44%増の179億ドル。これは2015年通期で674億ドルのGoogleに次ぐ世界第2位の数字で、急速に売り上げを拡大している。

実際オーディエンスネットワークによる広告は、CTR(クリック率)で国内のアドネットワークと比較して約1.2〜2倍、eCPM(1000ページビューあたりの収益)で約1.5倍程度になるのだという。「オーディエンスターゲティングによってユーザーに最適な広告が配信されているほか、世界約300万社の広告主が配信するため、国内のアドネットワークと比較して広告への興味が摩耗しにくい。またネイティブデザインのため、ユーザーの抵抗が少ない。またオーディエンスターゲティングに基づいた配信のため、広告効果も高い」(Supership)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。