SuseがKubernetes管理プラットホームのRancher Labsを買収

米国時間7月8日、「世界最大のオープンソースの独立企業」を自称するSuseは長年エンタープライズのコンテナクラスターの作成を支援してきたRancher Labsを買収したことを発表した。

買収の価額はどちらも公表していないが、Rancherは資金が豊富でこれまでに9500万ドル(約102億円)を調達している。しかもわずか数カ月前に同社は、Telstra Venturesがリードする4000万ドル(約43億円)のシリーズDを発表(Rancher記事)したばかりだ。これには、Mayfield、Nexus Venture Partners、GRC SinoGreen、そしてF&G Venturesらが参加した。

類似の企業と同様、RancherもやはりDockerのインフラストラクチャで起業し、その後 KubernetesがコンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードになってからはKubernetesに焦点を移した。Suseが同社を買収したのもKubernetesが理由だ。オーナーが何度も変わる浮き沈みの激しい社歴を背負うSuseは、新しい足場をようたく見つけ、それを強化するためにRancher Labsを買収したといえる。

先月、同社は年間の契約総額が前年比で30%伸び、100万ドル以上の顧客契約の件数は63%増加、クラウドの売上は70%増と報告した。同社は今でも、同社のルーツであるLinuxのディストリビューションがビジネスの1つだが、現在のSuseは相当様変わりした企業となり、さまざまなエンタープライズ向けプラットホームやソリューション、およびサービスを提供している。それらの中には、Cloud FoundryベースのCloud Application Platformがある。そして同社にはすでにKubernetesベースのコンテナプラットホームがあるが、Rancherの専門的能力がこのビジネスをさらに強化するだろう。

SuseのCEOであるMelissa Di Donato(メリッサ・ディ・ドナート)氏は、本日の発表で次のように述べた。「これは、オープンソースのリーダーである2社が力を合わせるという、我々の業界の素晴らしい瞬間だ。エンタープライズLinuxとエッジコンピューティングとAIにおけるリーダーと、エンタープライズKubernetes管理のリーダーの合併は市場に創造的破壊をもたらし、顧客のデジタルトランスフォーメーションを加速するだろう。SuseとRancherの組み合わせのみが、グローバルにサポートされた100%純粋なオープンソースのポートフォリオを持ち、そこにあるクラウドネイティブの技術などにより、エッジとコア、そしてクラウドのすべてにわたる顧客のシームレスなイノベーションを支援できる」。

同社は本日の買収を、同社のオーガニックでない成長戦略の最初の一歩と呼び、ディ・ドナート氏によるとこの買収で、同社はクラウドサービスのプロバイダー、独立のハードウェアベンダー、システムインテグレーター、および付加価値再販業者として、さらに素晴らしい顧客体験をぜひとも提供していきたい、ということだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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