Targetの最新インキュベータープログラムは「世界を救う」ことを目指す

Target(米国の全国的な量販チェーン)はスタートアップアクセラレーターの運営と無縁ではない。同社は現在、Target + Techstarsプログラム、美容に注力するTarget Takeoff、インドを拠点とするTarget Acceleratorプログラムを運営している 。そして今、4番目のビジネスアクセラレーターとして、Target Incubatorを追加しようとしている。 この新しいプログラムはZ世代(およそ1990年代半ばから2000年代前半生まれの世代)の起業家たちを対象としており、決まっていることは、対象とするビジネスは何らかの社会貢献をするということだけである。

Targetが述べるように、対象となるビジネスはただひたすらに「人びとや地球をよりよくする」ことを目指す必要がある。

その幅広い要件は、新しい製品アイデア、新技術、または新しいサービスを含む幅広いビジネスの範囲をカバーすることができる。Targetは、このことによって、食料品を得る手段から、温室効果ガス排出に至るあらゆることをカバーできると語っている。

またビジネス自身がそれほど進んでいる必要もない。Targetが要求していることは、成果を得るためにある程度のステップを既に踏み出しているか否かであり、ビジネスそのものが既に公開されている必要はない。単に「アイデア」以上のものであり、法的な実体を持っていることが要求されるだけである。また創業者は、過半数の所有権(51%以上)を持っていることが期待される。

Targetはこのプログラムのための8種類のビジネスを選択し、1種類のビジネスについて最大2メンバーを、直接新しいインキュベーターに迎え入れると語る。

これらの主に「Z世代」に焦点を当てられた起業家たちは、まず2019年の4月から6月にかけて、毎週1時間のオンラインプログラムに参加する、その後2019年の7月の半ばから8月初めにスタートする、2ヶ月間にわたる対面のインキュベータープログラムに参加する(ミネアポリスのTarget HQで開催)。

そのプログラムの間、参加者たちはTargetのリーダーたちや他のビジネスからのメンターシップを受け、ワークショップや、学習セッション、そしてチームビルディングイベントに参加し、テーマに関連する専門家へ業界を横断したアクセスを行うことができ、そして他の創業者の発展と成長の機会に立ち会うことができる、とTargetは語る。

応募受付は月曜日(米国時間8月15日)に始まり、10月29日に締め切られる。その後最終候補者に対するインタビューを経て、12月5日に採用が決定される。

選ばれたビジネスには、Targetから1万ドルの奨励金も支給される。

そしてまたTargetはインタビューのための旅費等の経費や、8週間の対面プログラム(最後はデモデーで締めくくられる)のための交通費と宿泊費を支給する。

Targetにとっては、スタートアップに関与することで、初期段階でビジネスに投資する機会が得られるため、最終的にはTarget自身の最終的な利益に役立つ可能性がある。また特に若い顧客を呼び込むトレンドを押さえておくためにも役立つ ―― そして、Amazonとの戦いをも助けてくれるだろう。

同社は既に、オンラインマットレス会社Casperへの投資や、Bevel、Harry’s、Bark、Who What Wear、Native, Quip、Rocketbook、GIR、NatureBox、Hello、そしてothersといったデジタルファーストのブランドとの提携を通して、新興ブランドと協業する企業であるという地位を確立している。また昨年には、即日配送サービスのShiptを買収している。ShiptはTargetがホットな食料品配送市場に参入することを助ける新興企業である。

新しくてデジタルファーストの企業と協業するだけでなく、Targetはさらに「良い」ことをなすビジネスに手を伸ばそうとしている。現在(Targetが「Z世代」と呼ぶ)多くの若い買い物客たちの足を店舗に運ばせるのは、単に価格だけではない。彼らはしばしば気分の良い買い物をしたいと思っている。例えば、その会社の使命を信用していたり、買い物をすることによってその持続的ビジネスを支援できることは、その気分の良さを支えてくれる。Target Incubatorはまた、Targetに対して、現在のそうしたビジネスに初めて出会うチャンスを与えるだろう。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Justin Sullivan / Getty Images