TC Tokyo 2015「バトル」勝者はクラウド労務手続き支援のSmart HR

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今年で5年目を迎えたTechCrunch Tokyo。毎年恒例の目玉企画「スタートアップバトル」の決勝が18日に行われ、100社以上の一次審査を勝ち抜いたチームが自社プロダクトをプレゼンで競い合った。

今年も800人規模の会場で立ち見が出るほどの盛り上がりを見せたバトルの頂点に輝いたのは、労務手続きを自動化する「SmartHR」を運営する株式会社KUFUだった。僅差で優勝を逃したスマホ専門のネット証券「One Tap Buy」には審査員特別賞が送られた。以下、優勝チームと次点チーム、その他のチームを登壇順にご紹介する。

SmartHR(株式会社KUFU ):優勝、IBM BlueHub賞、ぐるなび賞

社会保険・雇用保険といった労務手続きを自動化するクラウド型ソフト。提示されるフォームに入力し、「雇用契約書を用意しましょう」といったToDoをこなすだけで、必要書類を自動作成できることをうたう。電子政府のAPIを使うことで、まもなくウェブ経由で役所へ書類を届け出られるようになり、面倒な労務手続きがオンライン上で完結する。フリーミアムプランで月額利用料は980円〜。社労士に労務手続きを依頼する場合と比べて、手続時間も3分の1に抑えられるという。サービス開始から3カ月半ながら、すでに200社以上が導入していて需要の高さを感じさせる。

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One Tap BUY(株式会社One Tap BUY):審査員特別賞、AWS賞

わずか4タップで有名企業の株式を1万円から売買できるアプリ。世界中の株式に24時間、365日アクセスできる。自分が持つ株式のポートフォリオを円グラフで表示し、所有する株式をなぞるだけで株式を売買できるなど、洗練されたUIも特徴的。株式投資のハードルを下げるために、有名企業の創業ストーリーや投資を漫画で無料公開している。すでに有価証券の売買業務を認可する第一種金融商品取引業の申請が受理されていて、日本初のスマホ専門証券会社として2016年初頭にサービスを開始する。

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Popcorn(クービック株式会社)

当日予約できるサロンが見つかるサイト。都内を中心にネイルサロン、マッサージ、美容院などを、当日ならではのお得な価格で予約できる。事前登録したクレジットカードで予約時に決済する。気になる店舗を登録していけば、予約可能なタイミングでプッシュ通知が届く機能もある。店舗オーナーは事前決済のためキャンセルリスクがなく、成果報酬型で固定費がかからないのがメリット。

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キャスタービズ(株式会社キャスター)

人事や経理、リサーチなどの事務作業をオンライン秘書に依頼できるサービス。Facebookメッセンジャーやチャットワークなど、いつも使っているツールでやりとりすることが可能。さまざまなクラウドサービスを使いこなすアシスタントが在籍するため、例えば請求書作成サービス「misoca」と会計ソフト「freee」を使って会計業務がオンライン上で完結する。すでに50社が利用し、平均単価は月額12万円。3カ月目以降の顧客継続率は90%以上とサービス満足度が高いという。18日には、在宅勤務する人材を派遣する、日本初のオンライン限定在宅派遣サービスを開始した。

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シェルフィー(シェルフィー株式会社)

店舗を出店・改装したい人と、デザイン・施工会社をつなぐマッチングプラットフォーム。建築業界には業者の実績や費用といった情報が集まる場所がなかった。このため、悪徳業者の情報が広まることもなく、ぼったくりが常態化したり、反対に良い仕事をしても情報が広まらなかったという。シェルフィーは施工管理会社(建築案件の元請け)や施工専門業者、デザイン業者の情報をヒアリングで集め、建築業界を可視化しようとしている。施工管理会社から月額15万円を徴収するビジネスモデル。売上は非公表だが、シェルフィー経由で発注した10月の流通総額は1億2000万円に上る。

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TANREN(TANREN株式会社)

動画を主体としたクラウド型研修システム。飲食店やカーディーラー、モバイルショップ、旅行代理店など他店舗で接客する事業者がターゲット。導入企業は、マネージャーが研修のテーマを設定し、スタッフは営業のロールプレイを動画で撮影してアップロードする。マネージャーはTANRENのサーバーでロールプレイ動画を見て、「笑顔」「トークスピード」「言葉遣い」といった項目を評価する。時間がなく、属人的になりがちな社内教育を、どこでも可視化・共有化できることが特徴だ。

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WATCHA(株式会社WATCHA)

自分の好きな作品をもとに、オススメの映画、ドラマ、アニメを教えてくれるアプリ。ユーザーは自分が過去に見た作品を5点満点で評価すると、その点数や、好みが似たユーザーの評価をもとに、まだ見たことのない作品の点数を予想してレコメンドする。韓国では2013年にリリースし、160万人のユーザーが2億4000件の評価・レビューを投稿。好みに近い劇場公開映画の予告を配信したり、WATCHAの評価・レビューを動画配信サービスに提供することで収益を得ている。日本でもキネマ旬報から映画・DVD情報を提供してもらい、2015年9月に正式スタートした。

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スマートフォリオ(ウェルスナビ株式会社)

世界中の機関投資家や富裕層が利用する国際分散投資をサポートする資産運用サービス。5つの質問に答えるだけで、リスク許容度にあわせた金融商品のポートフォリオを提示する。「10年前に同じ投資したらどうなっていたか」といった結果を提示し、今後予想されるリターンとリスクを直感的に理解できる。日本には投資信託と株式だけでも9200種類の商品があるので、適切な金融商品を自分で選ぶのは困難。スマートフォリオは金融機関から手数料を受け取らないため、中立の立場でアドバイスできるという。来年1月に正式サービスを開始し、4年間で預かり資産3000億円を目指す。

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BONX(チケイ株式会社):さくらインターネット賞、PR TIMES賞、PayPal賞

スマホと接続したBluetoothイヤフォンを片耳に付けて使うウェアラブルトランシーバー。しゃべり始めたら勝手につながる音声認識システムを採用しているので、アウトドアでの激しい運動中でもコミュニケーションを取れる。会話中のみ通信するプロトコルの通話システムを開発し、切断されにくくバッテリーの節約につながっている。携帯電波を使って通信するため距離の制限がないのも特徴。スキーやスノーボード、自転車、カヌーなどでの利用を想定。10月15日にクラウドファンディングを開始。価格は1万5800円だが割引価格で購入でき、これまでの支援総額は1800万円に上る。

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SHOPCOUNTER(株式会社COUNTERWORKS)

期間限定の物販・イベント用スペースを貸し借りできるマーケットプレイス。最短1日単位でポップアップショップ(期間限定の店舗)を開きたいアーティストやクリエイター、EC事業者と、展示可能な空きスペースを持つオーナーをマッチングする。通常、店舗を開くには初期投資で約500万円かかるが、SHOPCOUNTER経由のポップアップショップだと約20万円に出費を抑えることができ、思い切った商品構成や見せ方が可能になる。予約代金の一部を手数料として徴収し、残りを空きスペースを持つオーナーに支払うビジネスモデル。

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Mijin(テックビューロ株式会社)

Bitcoinなどの暗号通貨で使われる要素技術「ブロックチェーン」を、自社またはパートナー間のみで利用できるプラットフォーム。導入企業が管理するネットワーク上で、指定したノードだけが参加するプライベートなブロックチェーンを構築する。企業のポイントや決済サービス、オンラインゲーム、航空会社マイレージ、金融機関など高度なシステム基盤での導入を想定している。秒間28トランザクション程度の某銀行の中央集権型サーバーでは初期費用数億円、月額数千万円というが、mijinは秒間100トランザクションで月額4万円に抑えられるという。

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VIDEO TAP(株式会社オープンエイト):Microsoft BizSpark Plus賞

延べ4000万UUの女性向けネットメディアを束ねるスマホ向け動画広告プラットフォーム。記事コンテンツの掲載面に沿って、動画を最後まで見るように促す「完全視聴型」、画面上部に表示する「画面占有型」、長時間のコンテンツを配信する「長尺配信型」、記事コンテンツにバナーをタップすると動画が出てくる「ネイティブ型」といった動画広告を配信する。すでに資生堂やP&G、LION、TOYOTAなど、全国規模で広告展開するナショナルクライアントが導入している。

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投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。