今日(米国時間5/5)、ニューヨークで開催中のTechCrunch Disrupのステージに共和党から大統領候補に名乗りを挙げたカーリー・フィオリーナが登場した。 「アメリカン・アイドル〔人気リアリティーショー〕に人々が毎週携帯電話から何回投票するか皆さんは知っているだろうか? 市民、特に若い市民がアメリカの大統領に対してアメリカン・アイドルに対するのと同様に対話するようになったらすばらしいはずだ」とフィオリーナは問いかけた。
テクノロジーの世界でフィオリーナは1999年から2005年にかけてHPのCEOを務めたことで知られている。大統領選に立候補するにあたってフィオリーナは、「現代のテクノロジーによって政府を再構想する」ことをモットーに掲げている。最近、ストリーミング・アプリのPeriscopeを使って若い有権者にそのことを訴えた。「テクノロジーはディスラプトを起こす力だ。われわれは政治の現状を打ち壊すのにテクノロジーの力を用いるべきだ」とフィオリーナは語った。
「シリコンバレーでの経験は世界がどう動いているかについて深い洞察を与えてくれた。私はそれををホワイトハウスで活かしたい」という。
テクノロジーはディスラプトを起こす力だ。われわれは政治の現状を打ち壊すのにテクノロジーの力を用いるべきだ
ただし、フィオリーナの在任期間中、HPでは大規模なレイオフが行われ、Compaqとの合併に失敗し、売上は大幅にダウンした。また彼女は気難しいリーダーで、ウォルター・ヒューレット(HPの共同ファウンダーのウォルター・ヒューレットの息子)を含む一部の取締役と激しく衝突したと言われている。実否はともあれ、女性CEOは経営スタイルについてこのような批判を受けることが多い。
しかしフィオリーナは「HPを停滞からリーダーへと活気づけた。政治では事実はあいまいだが、事実と数字はきわめて明白だ」と自賛した。
フィオリーナは2005年に大きな話題になった取締役会による自身の解任の理由を、一部の取締役の情報リーク、不況、そして変革への抵抗によるものだと説明した。「現状を打ち破り変革を主導しようとすると敵を作ってしまう。これは人間の本性によるものだ」という。
事実当時は他のテクノロジー企業のCEOにとっても環境は非常に厳しかった。Fiorinaはドットコムバブルの絶頂の頃にCEOに就任し、2000年代初期のバブルが破裂した期間を通じてHPを指揮しなければならなかった。とはいえ、Fiorinaの経営者としての実績は「最悪のもののひとつ」だとする声は強い。
「現在はテクノロジー・バブルの再来だと思うか?」という質問に対してフィオリーナは「環境が〔当時と〕同じだとは思わないが、多少の類似点はある。テクノロジー産業は多少泡だっているかもしれない。しかし私が問題にしているのは物理的世界からデジタル世界への30年から40年はかかるはずの変貌だ」と述べた。
その長期的課題のひとつが最近のFCC〔連邦通信委員会〕によるインターネット中立性を担保する裁定だ。テクノロジー業界を始めとして多くの人々が大手インターネット接続業者による差別的なシステム―金を払えば高速接続が提供される―の構築を許すべきでないとしているのに対して、フィオリーナはFCCの裁定は政府による自由競争への介入だと主張する。「FCCが作った400ページにも上るインターネットへの規制をすべて白紙に戻す」つもりだと述べた。
フィオリーナは自身のテクノロジー産業での経験がホワイトハウスで必須のものだととして、「政府はテクノロジー産業のイノベーションを規制しようとすべきではない」と述べた。
フィオリーナは自身のサイトとソーシャルメディアで昨日大統領選に立候補すると正式に発表した。しかしHPでの経営者として実績への疑問、混戦模様の共和党の大統領予備選など今後の展望には楽観を許さないものがある。お得意のはずのテクノロジー分野でもcarlyfiornia.orgというドメインの取得に失敗し、自称「フィオリーナにレイオフされた怒れる市民」にいたずらサイトを作るのを許してしまった。
「関連ありそうなドメイン名を全部買うわけにはいかない。しかし買っておけばよかったかも」とフィオリーナは述べた。
Fiorinaはテクノロジー産業での経験が自分を大統領にもっともふさわしい候補にしている固く信じている。 最後にTechCruchのサラ・レインに「副大統領になるつもりはあるか?」と尋ねられ「私が男だったらそういう質問をするだろうか?」といったんは問い返した後、「私は大統領以外の職を目指していない。私は勝利するつもりだし、その職にふさわしい能力があると考えている」と答えた。
〔原文に全インタビューのビデオあり〕
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)