TencentのWeChatが「法律・規制違反」で新規ユーザー受け付けを一時停止

Tencent(テンセント)のWeChat(ウィーチャット)は7月27日、「関連する法律と規制」を遵守するために中国での新規ユーザー受け付けを一時停止していると明らかにした。同社は、世界最大のインターネットマーケットである中国で当局の調査に直面した最新の中国企業となる。

ソーシャルメディアへの投稿の中で、Tencentは関連する全ての法律と規制に沿うようセキュリティのテクノロジーを「アップグレードしている」と述べ、このプロセスを進める間、「Weixin(WeChatの中国アプリ)の個人と公式の新規アカウント登録は一時的に停止される」と明らかにした。

「登録サービスはアップグレード終了後に元に戻ります。8月上旬が見込まれています」とWeChatは説明した。WeChatの年初時点の月間アクティブユーザー数は12億人超だった。

WeChatが発表でどの法律を指しているのか、にわかには明らかではないが、今回の動きは中国の規制当局がテック企業を幅広く取り締まっている中でのものだ。取り締まりにより、ここ数週間で中国企業の何十億ドルという時価総額が吹き飛び、ソフトバンクなど多くの著名グローバル投資家が影響を受けている。

中国でスーパーアプリとして展開されているWeChatがこの種の措置を取らなければならなくなったのはここ10年ほどで初めてのことだ。メッセージサービスの提供に加えて、ユーザーはWeixinでオンライン決済をしたり、幅広い金融サービスにアクセスしたりできる。

(他のマーケットでは様子は異なる。ドナルド・トランプ氏は2020年に米国内でのTikTok、WeChatを使った決済を禁止する大統領令に署名した。ジョー・バイデン大統領は6月、そうした措置を取り消して置き換えた

一部のアナリストは、中国政府が国内におけるテック企業の増大しつつある影響力と市民のデータのプライバシーを懸念している、と考えている。

7月上旬、中国のサイバーセキュリティ当局は配車サービス大手アプリのDidiに新規ユーザーの受付停止を命じた。この措置は同社のニューヨーク証券取引所での44億ドル(約4838億円)の新規株式公開から数日後のことだった。当局はDidiが顧客の個人データを不正に収集していたと非難し、Didiアプリは中国のアプリストアから削除された。

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画像クレジット: Drew Angerer / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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