Teslaの株主は過去5日間に株価が16%も下落するのを眺める羽目に陥った。セレブCEO、イーロン・マスクの奇妙な行動が広く知られるようになるのにつれてTeslaの時価総額から80億ドル近くが消えた。
しかしTesla株の暴落に関して責任があるのはマスクだけではない。Teslaの株価をさらに下落させたニューヨーク・タイムズのマスクのインタビュー記事にあるように、取締役会の責任も明らかだ。
ここ数ヶ月、マスクは緊張による疲労(控えめに表現して)の兆候を示していた。特にマスクが創立した電気自動車会社の今後の針路に関する決断が当を得ていないと強い批判を浴びた。
この時点で、BloombergのShira Ovideのツイートが指摘しているように、Teslaの取締役会(ほぼマスクの友人、親類、初期投資家で占められている)はマスクの決定を押し留めたり修正したりする努力をなんら払わなかった。
Teslaの取締役の一部はマスクが過労ぎみでAmbien(睡眠導入剤)を服用していることに懸念を抱いていたという。それならこう言いたい:取締役は仕事をしろ。
内輪の席であるいはオフレコで取締役の一部はマスクの最近の言動(薬物の使用やツイート)を心配していた。
取締役にこうした懸念があったなら、取締役会で正式に問題にすべきだった。マスクの公の言動が手に負えないものになる前に取締役会は与えられた権限に基づいて防止のための措置を取る義務があった。
四半期決算の惨憺たる電話記者会見の前後に奇妙な出来事が続いたい。 マスクはテロリストに狙われているとして警察の助けを求めたが誇大な主張だったと判明した。この主張はTeslaの内部告発者、Martin Tripに対するものだった。さらにマスクはタイの洞窟に閉じ込められた少年サッカーチームの救出に成功した洞窟ダイビングの専門家に対してペド野郎という根拠のない罵倒をツイートしている。
こうした事件ではTeslaの取締役会はマスクに対して説明を求め、こうした行動の結果、会社に何十億ドルもの損害を与えるならその責任を取るようはっきり要求すべきだった。 しかし取締役会は無為に過ごし、Teslaを巡る状況ははるかに危険なものとなっている。
SEC(証券取引委員会)はTeslaを非公開化するというツイートがなんらかの事実に基づくものだったのかどうか調査を開始している。
この時期、マスクはModel 3の量産をスケジュールに合わせるというさらに過酷なストレスを抱えていた(量産はスケジュールどおり達成された)。
マスクという個人のカルト的アイデンティティーがTeslaという会社の性格と分かちがたく結びついている点に問題の根本がある。マスクが行くところへTeslaも行く。これはビジネスを運営する正しい方法ではない。公開企業であろうと非公開企業であろうと、株主に会社の価値を長期にわたって保証する方法でもない。
Teslaの取締役会は会社の運営にあたってもっと積極的な役割を果たさねばならない時期に来ている。間違った決定が続くようなら取締役会の次の議題は会社の精算ということになりかねない。
画像:Joshua Lott / Getty Images
〔日本版〕Ambienはゾルピデムを主成分とする睡眠導入剤で、日本でも処方されている。
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