TeslaとUberの意外に多い共通点

WASHINGTON, USA - MARCH 16: Heavy traffic along Interstate 395 during the morning commute in Washington, USA on March 16, 2016. On Tuesday afternoon WMATA announced that it would suspend all of it's Metro Rail service for 29 hours starting at midnight in order to conduct emergency repairs to the system after multiple fires caused by faulty connections. On average 700,000 people use the Metro on any given work day to get to and from work and they had to scramble to find alternate ways to work. (Photo by Samuel Corum/Anadolu Agency/Getty Images)

Elon Muskの新たなマスタープランにもとづいて、Teslaは新たにカーシェアリング市場へと乗り込んでいく。

Teslaのカーシェアリングというアイディアは新鮮に聞こえるが、自動運転の技術と相まって、Tesla車がシェアリングエコノミーに関する議論の中に登場するのは初めてではない。

2015年のあるイベントにて、Uberの投資家であるDFJでパートナーを務めるSteve Jurvetsonは、UberのTravis Kalanickが、Teslaの自動運転車が2020年までに実現すれば、Tesla製の車を全部買うと話していたことを伝えている

以前、UberとTeslaのパートナーシップが地平線上に見えていた時期があった。Musk自身も、業績発表会でパートナーシップの可能性に関する話題が上がったときに、怪しまれるくらい長いあいだ黙りこんでいた

最近では、Uberは自分たちで自動運転車を開発しようとしているようだ。そして、本日のMuskの発表によると、Teslaも同じことをしようとしている。

「Teslaの携帯アプリのボタンを押せば、自分のTesla車をカーシェアリング用に貸し出すことができます。そうすることで、仕事中や休暇中にも収入が発生し、月々のローンやリース費用を相殺できる、もしくはそれを上回るくらいの金額になる可能性があります」とMuskは自身のポストにつづった。

UberやLyftのような企業は、第一印象よりもTeslaと多くの共通点を持っている。特にUberは、以前から長期的なビジョンと自動運転車の必要性について熱く語っていた。

UberとTeslaは、最初の製品やサービスを、参入障壁がとても高い市場に入り込むのに使っていた。Uberでいえば、ライドシェアリングサービスには、多大な人的資本と規制への強固な影響力が必要だ。Teslaも、何もないところから量産品の車を製造しなければならなかった。

Uberは未だに中国で資金を垂れ流しており、Teslaもコストのかかるギガファクトリーを引き続き稼働させる必要があるものの、両社が設立当初にやろうとしていたことの大部分はうまくいっている。そして2社とも運転手不要の車に対して、強い(そして高くつく)こだわりを持っている。Uberは現在、カーネギーメロン大学をはじめとした有名大学から才能あふれる学生を採用し、自動運転技術の開発やテストにあたろうとしている。

このまま行くと、UberがTeslaと衝突することになってしまうが、これは別に新しいことではない。Teslaは、自動車の稼働率を上げるための方法としてカーシェアリングを利用することで、パズルを完成させようとしているだけだ。両社とも、自動運転車の導入が交通費の減少につながると考えている。

Uberが、現在の市場の外にいるグループにもサービスを利用してもらうためには、コストを低く抑える必要がある。しかし、新たな人たちにサービスを利用してもらうためには、人口密度の低い郊外でもサービスを普及させ、最終的には普通のアメリカ人が車を手放すよう仕向けなければならない。一方Teslaは、電気自動車を普及させ、最終的には必要な電気の量を減らして全面的な二酸化炭素の排出量を減少させるため、運転に関するコストを減らす必要がある。

Uber/Tesla

シェアリングエコノミーの最大のメリットはまだ誰も享受することができていない。表面上は、Uberのような企業が、中産階級のうち以前は仕事のなかった人々に対して収入源を供給している。将来的にカーシェアリングが自動化されれば、移動にかかる費用が減少し、市場の効率性は最大化する。Kalanick自身も過去に、Uberの料金を構成している要素のうち運転手のコストが一番高いと語っていた。ライドシェアリングが車所有の文化を代替するためには、さらなる価格低下が必須条件なのだ。

Uberにとっての自動運転車の必要性は、中国でのマーケットシェアの必要性とは性質が違い、自動運転車はUberに長期的な持続性をもたらす。同様にTeslaは、今の道を進んでも事業継続はできると思われるが、自動運転車への参入で長期的な適合性を保つことができる。つまり、両社にとって自動運転技術は新たな高成長のチャンスであり、それがトップレベルの人材をひきつけ続けることにもつながるのだ。

UberとTeslaにとってカギとなるのは、将来の投資に集中するあまりコアビジネスがおろそかにならないようにするということだ。Muskはマスタープランの中で、短期的に見れば公共交通機関や貨物自動車の開発にチャンスを見出しており、それに取り組むことがTeslaの長期的なゴールへの前進に繋がると明言している。

両社の衝突は当分先のことだが、UberとTeslaが同じ流れに乗っているからといって、それがゼロサムゲームになるということにはならない。Googleや他企業が自動運転技術への投資を行っていくことが、エコシステム全体にとってのメリットとなるのだ。全般的な研究開発費に注視することが、自動運転の業界にいる各社の戦略の内省に繋がる。

Teslaは他社に立ち向かうことはできる。一方他社に勝つかどうかは、未来の交通手段の姿について正しい方向性を選択できるかにかかっている。これから20年先に私たちが、電気自動車を即金で買ったり、燃費の悪いガソリン車での移動に高い料金を払ったりする気持ちになるとは考えづらい。

UberとLyftに現在コメントを求めているので、返答を受け取り次第、本記事をアップデートしたいと思う。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。