TikTokがトランプ大統領に抵抗、禁止命令に対して差止めを申し立て

TikTokの親会社、ByteDanceとOracleの間で売却契約が成立したと報道されたものの、トランプ政権の禁止命令に対するTikTokの抵抗は続いている。

今日(9月22日)、TikTokは同社のショートビデオプラットフォームの運営を禁止する商務省の命令に対し連邦裁判所に差し止めを申し立てた。この命令は9月20日に執行されるはずだったが、ByteDanceとOracleの交渉を受けて一週間延長された。また Oracle への売却手続きに時間がかかることが考えられるため、さらに数週間延長されることが予想されている。

しかしTikTokは政府の措置に対してさらに強い抵抗を示している。おそらく禁止命令を受けた別のアプリ、WeChatの例を見てのことだろう。WeChatのユーザーグループはサンフランシスコを管轄する連邦地裁に対し商務省の命令を無効であるとする訴訟を起こし、先週、禁止命令に対する差し止めを勝ち取っている。WeChatの場合、原告は親会社の中国企業、Tencentではなくアメリカ市民のグループだった。訴訟記録によれば、TikTokの場合は同社自身がトランプ大統領とアメリカ政府を相手取って9月18日に「命令は無効である」とする訴訟を起こしている。

今回の差し止め申し立てにおいて同社は「安全保障に関連するとするアメリカ政府の常に揺れ動く要求を満足させるべく、われわれは所有者及び運営体制の変更を含めあらゆる努力を重ねてきた。この努力は今後とも続ける」と述べている。

同社は「差止命令が実行された場合の損害は「著しいものがある…大統領選挙を6週間後に控えて…まだわれわれのアプリをダウンロードしていない何億ものアメリカ市民がこの禁止によってコミュニケーションから排除されることになる」としている。TikTokは先週のWeChatの主張に習って「大統領と商務省は現在の法律によって与えられた権限を逸脱して禁止を強行しようとしている」と主張している。

しかしこの法廷闘争は現在混沌を極めるTikTok問題の一部をなすに過ぎない。昨夜、TechCrunchの同僚、Rita Liao記者が報じたように、中国政府はByteDanceによるOracleへの売却を「強迫によるもの」と非難しており、契約そのもののを認めない可能性が出ている。TikTokの将来は不透明さを増している。

画像:Sheldon Cooper/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

原文へ

滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。