マイクロソフトがAzure Communication Servicesを発表、企業内クラウド利用の総合会話システムを開発可能に

Microsoft(マイクロソフト)は開催中のIgniteカンファレンスで、Azure Communication Servicesを発表した。これはデベロッパーがそれぞれのアプリに音声およびビデオのチャットと電話網を利用した通話機能を実装できるクラウドサービスだ。

同社は「主要なクラウド上で初のフル・マネージドのコミュニケーション・プラットフォーム」だと説明した。たしかにAWSやGoogleもにもAWSの通知機能のようなプロダクトはあるものの、総合的なコミュニケーション・サービスとはいえない。実はAzure CommunicationはTwilioや最新のMessageBirdに近いサービスだろう。

同社はこの数年間、人気が高まりつつあるTeamsサービスを始めとしてこの分野で多数の機能を展開してきた。当然ながらTeamsとの統合は今回の発表の中でも重要な位置を占めていた。

マイクロソフトのコーポレート・バイスプレジデントを務めるScott Van Vliet(スコット・ヴァンヴリート)氏は「Azure Communication Servicesはその名称のとおり信頼性が高いグローバルなクラウドサービスにネーティブに対応している。レイテンシーが低く世界中から利用できるコミュニケーションプラットフォームであるAzureクラウド上で企業はサービスを開発し自信を持って運用できる。AzureはMicrosoft Teamsがリモートミーティングで1日当たり延べ50億分以上利用しているクラウドだ」と述べた。

同社はまたデベロッパーがこのサービスを使ってコミュニケーションシステムを構築する際、自動翻訳システムなど他のスマートサービスも同時に利用できることを強調した。同社はまた「セキュリティおよびプライバシーがHIPPAおよびGDPR規格に準拠している」と述べている。デベロッパーこのサービスを利用するためのAPIおよびSDKが用意される。

サービスの中心となる機能はほぼ予想通りだ。音声およびビデオ通話(その間を往復できる)とチャット、10月からスタート。テキストメッセージ送信だ。世界中あらゆる場所に所に広がるMicrosoftのネットワーク上に構築されるためデベロッパーはこうした機能を世界規模で利用することができるという。

電話番号が利用できるのもこのサービスの特徴の1つだ。デベロッパーはユーザーに発信着信双方が可能な電話番号を割り当てることができる。ユーザーは既存の番号ポータビリティで利用することもできるし新しい電話番号を申請することもできる。中でも重要なのはマイクロソフトのコンタクトセンターで、企業独自のデバイスでもキャリアのスマートフォンでも利用できる。

ヴァンヴリート氏は「マイクロソフトの目的は進歩する市場環境の中で高い信頼性で企業のニーズを満足させることだ。顧客や得意先との間で音声、ビデオ、SMSを含む多様かつリッチな対話が必要だ。ビジネスの不可欠の一部としてあらゆるデバイスを通じてこうしたコミュニケーションが可能となるプラットフォームを提供していく」と述べた。

画像:zf L / Getty Images

Microsoft Ignite

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。