TikTokの次の野望は未来のミュージックスター発掘

TikTokにはたくさんの音楽が必要だ。本当にたくさんの。この短尺動画サービスは、中国で口パクアプリとしてスタートし、Douyinと呼ばれていた。その後寸劇やライフハックなど別のカテゴリーのコンテンツも増えてきたが、音楽は同アプリの中心的要素であり、数億人のユーザーがビデオクリップにサウンドトラックを追加することが習慣になった。

そして、世界で10億近くダウンロードされたVineライクなアプリは、コンテンツクリエイターのために良質の楽曲を確保することを真剣に考え始めた。TikTokは日本と韓国で音楽の人材をスカウトする取り組みをスタートさせた。それ以前には、親会社であり世界で最も評価額の高いスタートアップ、Bytedanceが拠点を置く中国でも同様のプログラムを開始している。

Spotlightと呼ばれるそのオーディションは、TikTokを通じてデジタル的に行われる。アーティストは自分の作品をTikTokに投稿し、勝者は最終的に同社が提携する21のレーベルパートナーおよびパブリッシャーに紹介されてレコーディングの機会を得る。その結果TikTokユーザーは真新しい楽曲群から選んで自らの作品にひと味加える。

ユーザーは、TikTokが世界各地のレコード会社と提携して蓄積してきた著作権付き楽曲をすでに利用可能だ。中国だけで800以上のレコード会社と契約を結んでいると同社は言っている 。その中にはUniversal Music GroupとWarner Music Groupという大物も入っている。ユーザーは自作のサウンドトラックをアップロードすることもできる。

音楽マーケターたちはTikTokやVineのような短尺動画アプリに飛びついてアーティストを売り込んだ。聞くことを目的に作られた音楽ストリーミングアプリと異なり、TikTokにはソーシャル機能が組み込まれており、アーティストとファンの双方向の関係を作ることが可能なので、ファンは同プラットフォームのハッシュタグチャレンジの一環として、アイドルの歌のリミックス、ハンドバンス、口パクなどをよく行う。実際、韓国のボーイズバンド、BTSやガールズバンドのBlackpinkは、新曲のプロモーションにTikTokを利用している。

TikTokはSpotlightを、「独立アーティストを発見して成長を支援する」プログラムであると紹介している。マーケティング支援を受け音楽業界幹部とつながりが持てること以上に、TikTokがアーティストにどんな経済的利益を与える計画をもっているのかは不明だ。

TikTokのバイラル楽曲は、それを演じるアーティストに注目を向けさせられるかもしれないが、焦点は必ずしも音楽にはなく、15秒のビデオクリップを引き立てるのが本来の目的だ。多くの場合、楽曲が人気を博すのは耳について離れないからであったり、特定の流行に合っているためであり、必ずしもその音楽が「良い」ことが理由ではない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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