TikTokのCreator Marketplace APIでマーケターは1次データのアクセスし自社に最適なクリエイターが探せる

TikTok(ティックトック)は、ブランドや広告代理店が同社のサービスを使ってインフルエンサーと連携しやすくするサービスを開始する。同社は、「TikTok Creator Marketplace API」(ティックトック・クリエイター・マーケットプレイスAPI)を新たに提供する。マーケティング会社がTikTokの社内向けインフルエンサーマーケティングプラットフォームであるCreator Marketplaceを直接統合できるようにするAPIだ。

2019年末に公開されたCreator Marketplaceウェブサイトを使って、マーケターは自社のブランドキャンペーンに最適なTitTokパーソナリティーを見つけて、キャンペーンの制作、管理、効果の追跡ができている。

新しいAPIによって提携マーケティング企業は視聴者層、成長トレンド、ベストパフォーマンスビデオ、キャンペーンのリアルタイムレポーティング(ビュー、いいね!、シェア、コメント、エンゲージメントなど)に関するTikTokのファーストパーティーデータ(1次データ)を初めてアクセスできるようになる。

取得したデータは自社のプラットフォームに持ち込んで、顧客に提供している将来予測の強化に利用できる。

TikTokは同APIを9月後半まで正式発表しないが、アルファパートナーには早期利用結果の公表を認めている。

パートナーの1社であるCaptiv8(キャプティブ・エイト)は、同社初のTikTokキャンペーンであるNRF top 50 retailer(NRF小売業トップ50)で新APIをテストした。小売業者は新しいキャンペーンに起用する多様で包括的なTikTokクリエイターを見つけること、さらには自社独自のTokTokチャンネルを作ることを希望している。Captiv8によると、ブランド付きコンテンツは1000万近いビューを獲得し、キャンペーンはいくつかの主要指標が「著しく増加」し、実績はNielsen(ニールセン)の平均を上回った。親密度(平均+4%)、購入意志(+7%)、推奨意志(+9%)などだ。

画像クレジット:TikTok Creator Marketplaceウェブサイト

現在Captiv8は、TikTokのAPIを使って視聴者層情報を取得することで、インフルエンサーの紹介と活性化を集約し、ブランド付きコンテンツの強化とキャンペーン実績のモニターを行うツールを提供している。実績のモニターに関して、同社はTikTok Creator Marketplace APIを使ってリアルタイム指標を取得できる。これは、Captiv8がTikTokのファーストパーティーデータをアクセスしている数少ない企業になった結果だ。

これも早期アルファパートナーであるInfluential(インフルエンシャル)も新API活用の情報を公開しており、視聴者層、成長トレンド、ベストパフォーマンスビデオなどのファーストパーティデータを利用して、同社顧客ベースのFourune 1000ブランドが自社、外部両方の広告キャンペーンに最適なクリエーターをみつける手助けをしている。

同社と仕事をしたパートナーの1社であるDoorDash(ドアダッシュ)は、Influentialの協力を得てTikTokでいくつかのキャンペーンを実施した。DoorDashはMcDonald’s USA(米国マクドナルド)が2021年実施予定のいくつかの新規キャンペーンにも協力する予定で、同チェーンの新製品、Crispy Chicken Sandwich(クリスピーチキン・サンドイッチ)や復活するSpicy McNuggets(スパイシー・マックナゲット)などが対象だ。

その他の早期アルファパートナーには、Whalar(ウェーラー)とINCA(インカ)がある。後者による統合は、2021年2月に発表されたTikTokのWPPとの国際パートナーシップの一環だ。この提携によってWPP代理店は新しい広告プロダクト・マーケティングAPIや新しいAR機能を早期利用できる。

クリエーターのマーケットプレイスは、大規模なインフルエンサーコミュニティをもつソーシャルメディアプラットフォームにはよく見られるようになり、オンライン消費者向け広告の標準的方法の1つになりつつある。若い世代に対しては特にそうだ。現在Facebook(フェイスブック)はBrands Collabs Manager(ブランドコラボマネージャー)をFacebookとInstagram(インスタグラム)向けに提供している。YouTube(ユーチューブ)にはBrandConnect(ブランドコネクト)があり、Snapchat(スナップチャット)は最近、ブランドとLens(レンズ)クリエーターをつなぐマーケットプレイスを発表した。この種の組織内プラットフォームは、ブランドのROI(投資利益率)にとって重要な指標の信頼できるデータを提供することでマーケターが幅広いインフルエンサーコミュニティの協力を得やすくする。インフルエンサー自身が報告するデータに頼ったり、マーケターが自分で収集する必要がない。キャンペーンが始まると、マーケターは提携クリエーターの成果を比較して将来の活動に活かすことができる。

TikTokは現時点でこの新APIの正式発表は行っておらず、まだテスト段階だとTechCrunchに語った。

「クリエイターは当社プラットフォームの生命線であり、私たちは彼らがブランドとつながり協力しやすくする方法を常に考えています。自社のメッセージを正しく伝えられる多様なクリエイターをブランドが発見して協力を得る手助けをする信頼できるパートナーのエリート集団と仕事ができることを大いに喜んでいます」とTikTokのエコシステム・パートナーシップ責任者Melissa Yang(メリッサ・ヤン)氏が選ばれたマーケティングパートナー向けに提供した声明で語った。

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画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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