Uberはインドで展開してきたフードデリバリー事業を地元のライバル企業Zomatoに2億600万ドル(約221億円)で売却した。Uberにとって主要海外マーケットの1つであるインドの当局に提出した書類で明らかになった。
2020年1月にUberはUber Eatsのインド事業を、赤字のフードデリバリースタートアップZomatoの株式9.99%と引き換えにZomatoに売却したと発表した。両社は買収額などの詳細は明らかにしなかった。インドの一部のメディアは3億5000万ドル(約376億円)規模だと報じた。TechCrunchは、Uber Eatsのインド事業とZomatoの株式9.99%は1億8000万ドル(約193億円)と評価された、とレポートした。
書類の中でUberは「Uber Eatsのインド事業についてZomatoから示された『考慮した適正価格』は2億600万ドル(約221億円)だった。ここにはZomatoから支払われる商品・サービス税の還付金3500万ドル(約38億円)も含まれている」としている。
この買収は創業11年となるZomatoのバリュエーションの大幅減を如実に物語っている。2020年初めに1億5000万ドル(約160億円)の資金調達を明らかにしたとき、同社の価値は30億ドル(約3220億円)と報じられた。
2019年12月のインドの報道機関PTIからのインタビューで、Zomatoの共同創業者でCEOのDeepinder Goyal(ディーピンダー・ゴヤル)氏は、同社は2020年1月末までに最大6億ドル(約645億円)を調達する見込みで、今はその最中だと話した。同社はまだ資金の大半を確保していない。Zomatoの広報はコメントを避けた。
Uber Eatsの撤退で、インドのフードデリバリーマーケットはZomatoと、Prosus Venturesが支援するSwiggyの2強体制となった。Swiggyは現在も進行中のラウンドで2020年2月に1億1300万ドル(約121億円)を調達した。業界の予測ではSwiggyがインドのフードデリバリー業界でトップだ。
両社とも新規顧客を獲得したり、既存客の満足度を維持したりしようと、毎月1500万ドル(約16億円)超のフードデリバリーを行っているが、依然として黒字化に苦戦している。
米国のような発展したマーケットと違い、インドでは黒字化は特に難しい。バンガロール拠点の調査会社RedSeerの推計によると、各デリバリーアイテムの価値は米国では33ドル(約3500円)だが、インドでは同じようなものが4ドル(約430円)だ。
India QuotientのVC、Anand Lunia(アナンド・ルニア)氏は最近のポッドキャストの中で「フードデリバリー企業はプラットフォームでフードアイテムのコストを補い続けるしか方法はない。でなければ顧客のほとんどはサービスを利用できない」と話した。
それだけでも大変だが、この2社は新たな競争相手にも直面している。TechCrunchは先週、Amazonが早ければ3月末にもインドのフードデリバリー業界に参入する計画だと報じた。
画像クレジット: CHANDAN KHANNA / AFP / Getty Images
参考:アマゾンがインドのフードデリバリー市場にまもなく参入か
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(翻訳:Mizoguchi)