6年前に米YahooはTumblr(タンブラー)を11億ドル(約1160億円)で買収した。いっときはマイクロブログのマーケットを支配したサービスだったが、Yahooの親会社であるVerizonがTumblrを売却することが明らかになった。引き受け手はWordPressオーナーのAutomatticだ。売却の条件など詳細は明らかにされていないが、Wall Street Journalの記事によれば「当初の価格に比べれば捨て値」だという。
AxiosはTumblrの売値は「2000万ドルをかなり下回る」という。それなら2013年の価格の2%以下にしかならない。
Tumblrのマイクロブログが大人気だった時代もあったのだが、Yahoo買収後の道どりは困難なものになった。ソーシャルネットワーク分野にFacebook、Instagram、Twitter、Redditが君臨するようになるとTumblreは路傍に取り残された。
ことにポルノを禁止するという最近の決定がビジネスに大打撃を与えたようだ。Sensor Towerの調査によれば、Tumblrのモバイルアプリをダウンロードするユーザーの数は対前年比で33%減少した。
そういう背景を考えれば今回のニュースもさほど意外ではない。Yahooの買収によってTumblrのオーナーになったVerizonはこの5月に買い手を探していると伝えられた。Tumblrは当時Yahoo最大の買い物でCEOだったマリッサ・メイヤーは「絶対に上手くやってみせる」と声明で述べていた。
しかしTumblrはYahooにとって良い買い物ではなく、Verizonとの適合性はさらに悪かった。Verizonは、Tumblrを短命に終わったがOath事業部に統合、さらにVerizon Media Group (TechCrunchの上部組織でもある)に移管した。Automatticは(少なくとも一見したところ)ビジネス上の適合性はVerizonよりずっと高そうだ。AutomatticのWordPressはインターネット最大のパブリッシングプラットフォームであり、プラグインのJetpackやノートアプリのSimplenoteも人気が高い。AutomatticはTumblrの200人の社員も引き受けるという。Tumblrはブログ記事にこう書いている。
同様の目的を持つ2社が力を合わせることになったのは最高だ。よく知られているように、WordPress.comはAutomatticのフラグシップだ。WordPress.comとTumblrは共にブログプラットフォームのパイオニアだった。Automatticには関心を共有することによって活動的なコミュニティを作るというビジョンがある。情報のパブリッシングを民主化し、誰もが自分が興味を持つ物語を共有できるようにしたいと考えている。特にその声がか細く、十分にコミュニティを作れていないならなおさらだ。
画像:Bryce Durbin / TechCrunch
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)