VRグローブHaptXが「Metaの試作品は自社デバイスと実質的に同じ」と主張

Facebook(フェイスブック)、つまりMeta(メタ)は米国時間11月16日、新しい触覚フィードバックグローブのプロトタイプを公開した。このグローブは、新世代のAR / VRユーザーに、これまで以上にデジタルコンテンツを身近に感じさせることができると説明している。そして11月17日、同じミッションを持つVRスタートアップのHaptX(以前ここで取り上げたことがある)は、Metaが自社の特許技術と「実質的に同じ」プロトタイプを公開したことを非難する、かなりアグレッシブな声明を発表した。

HaptXのCEOであるJake Rubin(ジェイク・ルービン)氏の声明によると、同氏のスタートアップは長年にわたって「Metaの多くのエンジニア、研究者、幹部」に自分たちの技術を披露してきており、最新のプロジェクトではMetaから相談を受けていないという。「Metaからはまだ連絡を受けていませんが、懸念を解消し、我々の革新的な技術を将来の消費者向け製品に組み込むことができるような、公正で公平な取り決めに向けて、Metaと協力していきたいと考えています」とルービン氏は述べている。

画像クレジット:HaptX

Metaの広報担当者はコメントを控えた。

HaptXのものと、最近発表されたMetaのプロトタイプは、ともにマイクロ流体フィードバックと呼ばれる技術を使用している。携帯電話やゲームのコントローラーには、小さなモーターを使ってブザーやゴロゴロという音をシミュレートする触覚フィードバックが搭載されているが、ユーザーの手全体のより深い感覚をシミュレートするとなると、マイクロ流体フィードバックは、チューブのネットワークを流れる空気の流れを制御するアクチュエーターを使って異なる動作を行い、物を拾うことに関連する感覚や、すべてデジタルでレンダリングされた独特の質感を高度に模倣することができる。

Facebookではこれまでにも数多くのAR / VRのプロトタイプを公開し、最終製品には至らないことが多いが、特定のテクノロジーの最先端をテストする複雑な技術を示してきた。HaptXは長年にわたって法人顧客向けに触覚フィードバックグローブを製造してきた。この技術を小型化するために、グローブの感覚フィードバックを管理するバックパックサイズの空気圧ボックスが必要だった。しかし、これはまだ非常に複雑な技術であり、Facebook、いまとなってはMetaがQuest 2で追求してきたようなメインストリームのユーザーにリーチするには、おそらく何年もの開発期間を要する。

しかし、Metaのチームがこの技術を大幅に進化させたことは明らかだ。Metaの研究ブログ投稿では、こうしたフィードバックコントロールを操るグローブのチップセットである「世界初の高速マイクロ流体プロセッサ」が開発されたことが報告されている。同社の研究者の1人は「目標は、AR / VRインタラクション問題の両面に対応するソフトで軽量な触覚グローブを発明することです。つまり、コンピュータが着用者の手の動きを正確に理解して反映するのを助けること、そして着用者のために圧力、感触、振動などの複雑で微妙な感覚を再現して、仮想オブジェクトを手で感じているような効果を生み出すことです」と詳細に述べている。

Facebookはこれまで、自分たちの製品が大手ハイテク企業に不当にコピーされたと、スタートアップから多くの批判を受けてきた。また、反競争的な行為を行っている、と規制当局からも厳しい調査を受けてきた。

以下は、HaptXのルービン氏による声明の全文だ。

この10年間、HaptXはマイクロ流体による触覚フィードバックの分野を開拓してきました。数々の賞を受賞した当社の技術は、一般紙や専門誌で広く取り上げられており、高忠実度の触覚フィードバックへのアプローチとして、マイクロ流体のユニークな利点を開発し、普及させるためにたゆまぬ努力を続けてきました。また、当社のエンジニア、開発者、投資家の方々の長年にわたる献身により、当社の技術と製品を保護するための業界屈指の特許ポートフォリオを確保しています。

VR業界の他社との交流において、我々は常に業界全体の発展のためには協力が最も重要であると考えています。長年にわたり、当社はMetaの多くのエンジニア、研究者、幹部を招き、当社の画期的な触覚技術のデモンストレーションを行ってきました。

本日、Metaは独自のマイクロ流体式触覚フィードバックグローブのプロトタイプを発表しました。シリコンベースのマイクロ流体触覚フィードバック積層体と空気圧制御アーキテクチャを含むこのプロトタイプのコア構成要素は、HaptXの特許技術と実質的に同じであると思われます。我々は、マイクロ流体触覚の分野における関心と競争を歓迎します。しかし、業界が繁栄するためには、競争は公正でなければなりません。

まだMetaからの連絡はありませんが、我々の懸念を解消し、Metaが我々の革新的な技術を将来の消費者向け製品に取り入れることができるような、公正で公平な取り決めに向けてMetaと協力していきたいと考えています。

画像クレジット:Meta

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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