「XRが当たり前の世界をつくる」をミッションに、VR・ARを含むXR市場の創造に取り組むSynamon(シナモン)は3月22日、MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険(三井住友海上)が実施している「事故車損害調査 基礎研修」にVR技術を提供し、「VR事故車損害調査研修」を共同開発したと発表した。事故車の損害調査ができるバーチャル空間を構築することで、全国どこからでも研修への参加が可能になる。
2021年4月以降にVR事故車損害調査研修」を開催し、7月以降は自然災害の損害調査におけるVR研修を開催する予定。
三井住友海上によると、同社は自動車事故の保険金額の算出過程として、事故車の損害調査を実施しているという。損害調査は同社の根幹業務であり、その意義を全社員が理解する必要があるため、全国にいる数百人の新入社員を千葉にある研修所に集め、毎年研修を実施してるそうだ。しかし、昨年来のコロナ禍により研修の開催が厳しい状況となっているという。
そこで、VR技術を活用し全国どこからでも参加できる研修を創出できないかと考え、Synamon提供のVRビジネス施設「NEUTRANS」を活用し、「VR事故車損害調査研修」のバーチャル空間構築に取り組んだ。
「事故車損害調査 基礎研修」の流れ
- 部品名称や新品部品の補給形態を学習(VR空間で実施予定)
- 部品構成・材質や組付け構造を学習(VR空間で実施予定)
- 事故類型によって異なる損部形態や特徴的な痕跡について学習(VR空間で実施予定)
- 実車(事故車)を使用して、調査プロセスを学習(VR空間で実施予定)
- 損傷状態の証拠保全方法を学習(VR空間で実施予定)
- 見積作成手順を学習
期待される効果
- 集合研修と同等以上の学習効果:VRは高い没入感を創出できるため、参加者間でアバター姿で身振り手振りを交えての議論や、ホワイトボードや付箋をVR空間で使ったアイデア出しなど、緊密なコミュニケーションが可能。また、仮想空間に配置された自動車のドアやボンネットの開閉、メジャーを用いた測量などの操作も可能で、従来の集合研修と同等以上の学習効果を期待できる
- 研修時の移動時間やコストを削減:研修場所を仮想空間上に設けるVR研修では、集合研修時のような移動が発生せず、時間短縮につながる。交通費や宿泊費なども削減
- 三密回避で感染リスクを軽減:コロナ禍で集合研修の開催が困難な中、研修参加者は、三密を回避して各職場・自宅からリモートで参加可能。感染リスクを心配することなく研修を行える
2016年8月設立のSynamonは、「XRが当たり前の世界」を実現するため、VR/ARをはじめとするXR技術を使ったサービス開発や研究開発を行うテックカンパニー。自社開発しているNEUTRANSは、VR技術の活用によって、バーチャル空間であらゆるビジネス活動を可能にするVRビジネス施設という。
世界中どこからでも働けるオフィス、リモートでもリアルのような体験を可能にするトレーニングや開発予定の未来都市を見学できるプロモーションなど、バーチャル空間を活用した次世代事業の創出拠点を目指している。
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