VTuber「ゲーム部」運営のUnlimitedがBrave groupへ社名変更、約8億円の調達と役員体制の刷新も発表

ゲーム部プロジェクト」など複数のVTuberチャンネルを展開するUnlimitedは6月16日、Brave groupへ社名を変更したことと共に、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額8億円を調達したことを明らかにした。同社では合わせてCI(コーポレートロゴやミッションなど)や役員体制も刷新している。

Brave groupは2017年10月に上⻄恒輔氏と野⼝圭登氏が共同で立ち上げた。これまでは2人が代表取締役を務めていたが新体制では上西氏が退任。代表取締役は野口氏1人(代表取締役CEOに就任)となる。またCSO/経営企画室室⻑を担っていた吉弘⽂昭氏が取締役 CSO、コーポレート本部⻑を担っていた舩橋純氏が執⾏役員 CFOに就任し体制面をアップデートしている。

加えて複数のVC・事業会社やエンジェル投資家から約8億円を調達し資金面も強化した。主な新規の株主は以下の通り。事業会社とはVTuberやバーチャル体験を絡めた事業上の連携も視野に入っているようだ。

  • アニヴェルセル HOLDINGS
  • AG キャピタル
  • セプテーニ・ホールディングス
  • みずほ成⻑⽀援第 3 号投資事業有限責任組合
  • efu Investment
  • gumi ventures3 号投資事業有限責任組合
  • マイナビ
  • ⽚⼭晃氏など複数の個人投資家

なおBrave groupではこれまでグリー子会社のWright Flyer Live Entertainmentや中国のBilibiliから資金調達を実施していて、累計の調達額は約10億円となった。

独自の制作フローで複数のVTuberチャンネルを運営

Brave groupの主力事業はVTuberを軸としたIP開発事業だ。30万人強がチャンネル登録しているゲーム部プロジェクトを始め、独自のキャラクターを活かしたチャンネルを複数展開する。

VTuberのプロデュースやマネジメントを手がけるスタートアップは複数存在するが、同社の特徴は漫画の原作を考えるような役割を担うプロデューサーを社内で抱え、最初の段階でストーリーやキャラクターといったチャンネルのキモとなる部分を入念に設計していること。それが固まった後にキャラクターを演じる“中の人”を探し、YouTube上だけでなく様々なメディアに展開できるIPを目指して一緒に作品を作っていくケースが多いという。

その観点からBrave groupではキャラクターユーチューバーの略で「CTuber」と表現している。

「VTuberでは中の人を務める声優さんの個性をそのままバーチャル化することが多いが、自分たちは別のやり方をしている。チャンネルやコンテンツの制作フローは漫画やアニメに近く、ビジネスモデルも(芸能事務所やYouTuberが所属する事務所などではなく)集英社などIPの会社をかなりベンチマークしながら取り組んできた」(野口氏)

今まではエクイティファイナンスで調達した資金などを用いてオリジナルのIPを100%権利保有する形で運営してきたが、直近ではナショナルクライアントや地方自治体からVTuberを起用したプロモーションの引き合いが強くなってきているそう。そこでチャンネルにスポンサードしてもらう形で資金提供を受け、IPを50%ずつ保有しながら共同でIPを育てつつ収益をシェアするモデルも始めている。

Brave groupが運営する主要チャンネル。数字は6月15日時点のもの

体制変更や業務フローの見直しを経て、次世代IPの創出目指す

VTuber関連の事業はここ1〜2年で急速に盛り上がってきた領域だ。複数のチャンネルが立ち上がり、キズナアイや輝夜⽉を始め人気のバーチャルタレントが生まれた。

関連するスタートアップも続々と立ち上げってきていて、直近でもBrave groupだけでなくActiv8(小学館やホリプロなどから約10億円調達)やカバー(複数VCなどから約7億円調達)、にじさんじ(伊藤忠商事などから約19億円調達)が億単位の資金調達を実施。大手企業がそれらのスタートアップに出資をしたり、オリジナルのVtuberを手がけたりする例も増えてきた。

その反面まだまだ未成熟な業界で、トラブルの話を耳にしたりすることもある。Brave groupのゲーム部プロジェクトに関しても昨年4月に声優との間で問題が発生し、業務辞退の申し入れがあったことが発覚。最終的には関係者で協議を行った末、4人の声優陣が交代したことも明らかになった。

同社からも発表されている通り声優スタッフとのコミュニケーションや業務マネジメント体制の部分に課題があったため、この1年ほどは冒頭で触れた社内体制の変更も含めて体制や業務フローの改善を進めてきたという。

「演者さんや(演者の)親御さんとの密なコミュニケーションや評価制度の見直しなどに加えて、月の動画制作本数の適正化も進めた。ゲーム部ではピーク時に月間で50〜60本の動画をアップしていたが、それが過度な業務負担の一因にもなってしまっていた」(野口氏)

また演者だけでなくチャンネルを応援しているユーザーとの間のコミュニケーションも見直すべき点があった。ゲーム部ではユーザー向けに適切な情報開示などを行わずに声優陣の変更を進めたことがわかったため、ファン離れにも繋がった。

昨年末には同じくBrave groupが手がける「ここあMusic(道明寺ここあ)」を担当していた声優がバンド活動へ専念することを理由に卒業。今年3月から新声優のもと「COCOA CHANNEL」に名称を変える形で再スタートを切ったが、その際には演者だけでなくユーザーに対しても情報共有をしっかり行うことで新チャンネルにも少しずつユーザーが戻ってきているという。

今回の資金調達は体制を変更し社名も新たにした上で、再度「世代を超えて親しまれるようなIPをスマホ・Youtubeから生み出す」ことを目指していくために実施したものだ。Bilibiliが既存株主に入っていることからもわかるように、ゆくゆくは日本だけでなくIPを世界で展開することも計画している。

調達資金はIPコンテンツ制作や採用・マーケティング活動へ投資をするほか、新規事業の開発にも用いる方針。具体的には芸能人のバーチャル化プロジェクト(バーチャルライバー)やクリエイターの人材紹介事業などを考えているという。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。