WhatsAppがスマホなしで動作するマルチデバイス機能をテスト

Facebook(フェイスブック)傘下のインスタントメッセージサービスであるWhatsAppが、ついに重要な機能の改善を公開する。長年にわたってユーザーからの要望のトップだったと同社が認める機能だ。

米国時間7月14日、WhatsAppは新しいマルチデバイス機能に関して限定的なパブリックベータテストを公開すると発表した。

このアップデートにより初めて、登録済みのスマートフォンの電源が切れていてもインターネットに接続していなくても、WhatsAppを最大4台のデバイスで利用できる。WhatsAppの広報担当者はTechCrunchに対し、この複数のデバイスの中に別のスマートフォンを含めることはできないと述べた。

WhatsAppはブログの投稿で「各コンパニオンデバイスはWhatsAppに独立して接続します」と説明している。

全世界で20億人以上に使われているWhatsAppは、すでに複数デバイスでの使用をサポートしている。1人のユーザーが、例えばウェブブラウザやコンピュータのデスクトップアプリから同時にサービスにアクセスできる。しかし現在は複数デバイスで使う際にスマートフォンがインターネットに接続している必要がある。

WhatsAppは次のように説明している。

スマートフォンがすべての処理をする必要があるため、コンパニオンデバイスの速度が落ち、特にスマートフォンの接続が不安定な場合やバッテリー残量が少ない場合、アプリのプロセスがスマートフォンのOSによって強制終了された場合に頻繁に接続が切れます。また、一度に1台のコンパニオンデバイスしか動作しません。例えばPCでメッセージをチェックしながらPortal(Facebookのビデオ通話デバイス)で通話をすることはできません。

WhatsAppの新しいマルチデバイスアーキテクチャではこうした制限が取り除かれます。スマートフォンを信頼できる情報源にする必要がなくなると同時に、ユーザーのデータをシームレスかつセキュアに同期しプライバシーを守ります。

米国時間7月14日に公開されたホワイトペーパー(PDF)で、WhatsAppはこの機能の仕組みを概説し、公開までにこれほど時間がかかった理由を示している。

同社は複数のデバイスを使ってもエンド・ツー・エンドの暗号化を維持してメッセージが同期される新しいテクノロジーを開発してきたとし、これは市場では今のところほとんど実現されていない離れ業だという。

画像:WhatsApp

同社は次のように説明している。「これを実現するために、我々はWhatsAppのアーキテクチャを再考し新しいシステムを設計して、スタンドアローンのマルチデバイスエクスペリエンスでありながらプライバシーとエンド・ツー・エンドの暗号化を守っています。個々のメッセージが確立されたペアワイズ暗号化セッションを利用して各デバイスで別々に暗号化されます。メッセージが配信された後はサーバーに保管されません」。

広報担当者によれば、この機能によってユーザーのためのクラウドバックアップに変更はないという。担当者はさらに「メッセージや他のアプリのデータをユーザーのデバイス間で同期するメカニズムは、クラウドバックアップからは独立しています」と補足し、ホワイトペーパーにプロトコルが詳しく説明されていると述べた。

この機能を全ユーザーに公開する時期について具体的な日程は計画されていない。同社はTechCrunchに対し、この機能をまず既存のベータユーザーに公開すると述べた。今後数カ月でアプリの安定版を利用する一部のユーザーに対し、許可を得てベータ機能を公開する計画だ。

@WhatsAppに期待されるセキュリティをすべて実現しています。我々はデータを同期しつつエンド・ツー・エンドの暗号化を維持する新しいテクノロジーを開発しました。メッセージの履歴、連絡先の名前、スターを付けたメッセージなどをデバイス間でシームレスに同期できます。詳しくはこちら。

近いうちに「リンクされたデバイス」画面にベータに参加するオプションが表示されます!

これはWhatsAppが現在開発している多くの機能の1つだ。同社はiPad専用アプリや2020年に導入した消滅モード機能にも取り組んでいる。現在はメッセージが7日間で消えるように設定できるが、この機能を拡張して写真やビデオを1回だけ表示できるようにする計画だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookWhatsAppメッセージングアプリ

画像クレジット:WhatsApp

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(文:Manish Singh、翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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