Windows 10の立ち上がりを探る

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まずWindows 10について簡単におさらいしておこう。

  • Windows 10は7月末に一般公開され、かなりの高評価を得ている。
  • Microsoftはユーザーベースの早急な拡大に全力を挙げている。
  • Windows 10のユーザーベースが大きくなれば、アプリのダウンロードが伸びる。これはより多くのデベロッパーを惹きつける。
  • 良質のアプリが豊富に供給されればWindows 10のユーザー体験は改善され、さらに多くのユーザーがWindows 10を採用するようになる。

Windows 10への乗り換えが進まないと上と逆の悪循環が生じることになる。では現在までのWindows 10のインストール状況はどうなのだろう?

一般ユーザー市場

MicrosoftはWindows 10について「2、3年のうちに10億台のデバイスにインストールされる」ことを目標として掲げている。Microsoftは意識的にこのような曖昧な表現にしているのだろう。つまり10億のライセンスを販売するとは言っていない。Windows 10へのアップグレードは今後1年無料だという点を考えれば、ライセンスの販売目標について明確は数字を出すのは難しいだろう。

現在、Windows 10のインストール数についていくつかの数字が出ている。どれも不完全なもので、ソースも公式発表から噂程度のものまでいろいろだ。

Microsoftの数字

Microsoftは「Windows 10は、一般公開されてから24時間後に1400万台のデバイスで稼働している」と 発表した

この数字の正確な内容は不明だ。たとえば、500万人といわれるWindows 10のベータテスト参加者のデバイスはこの数に含まれているのか? たとえば私自身、Windows 10のベータ版を数台のコンピュータにインストールしている。一般公開後にどれだけの新たなインストールが行われたのかは不明だ。

Brad Samsのスクープ、その1

Windows情報専門サイトNeowinの Brad Samsは 、「私が入手した内部情報によれば、現在Windows 10がインストールされているコンピュータは1850万台だ」と書いた。 ネットでは一時6700万台という数字が飛び交っていたが、SamsによればこれはWindows 10へのアップグレードを予約したマシンの数かもしれないという。

1850万台という数字は8月3日のもので、1400万台という数字が出てから1週間経っていない時点だった。

Brad Samsのスクープ、その2

Brad Samsは最初のスクープから4日後に再び内部情報の入手に成功した。それによるとWindows 10のインストール数は2500万台に跳ね上がった。Samsによれば「あるいは2700万台に達しているかもしれない」ということだ。

先週の金曜に2500万(あるいは2700万)に達したということは週明けには3000万に届いているだろう。今月中に5000万に達する可能性は十分にある。

その他の兆候

Windows 10の採用状況を占うのに使える情報がさらにいくつかある。ひとつは検索トラフィックだ。GoogleトレンドでWindows 10とWindows 8、Windows 8.1、Windows 7を比較してみた。

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これは興味深いグラフだ。Windows 10への関心がWindows 8(赤と黄色の線)より大きいのは当然だが、これまでで最良のWindows と評されるWindows 7をも上回っている。しかもWindowsに対する検索ボリュームでも過去最高を記録している。これはWindows 10にとって前向きの情報だ。

次はゲーマーの動向だ。Steam’s excellent operating systemの統計は以下のとおり。

Screen Shot 2015-08-10 at 10.42.58 AM

この統計ではWindows 10は1.2%を占めている。ただしこのデータは7月分の集計だ。Windows 10の一般公開は7月29日だったことを考えると、悪くない出だしだろう。8月文の集計が発表されると状況はかなりはっきりするはずだ。

要約

これらの情報を総合すると、Windows 10のローンチはそう悪いようには見えない。いかにも及び腰なコメントに聞こえるかもしれないが、今のところそれ以上のことは言えない。今後さらに勢いがついてくるかどうかが勝負だ。

エンタープライズ市場

エンタープライズについて何か予測するのは早過ぎる。Microsoftによればエンタープライズ向けにWindows 10が供給され始めるのは今年後半になるという。【中略】

デベロッパーの動向

長期的にみてMicrosoftのWindows戦略の要になるのはやはりデベロッパーの動向だ。デベロッパーをWindows 10に引き寄せることができなければWindowsに将来はない。

IDCのアナリスト、Al Hilwaによれば、カギになるのはもはや開発ツールではないという。Microsoftの開発ツールは極めて優れている。問題はMicrosoftの閉鎖的なエコシステムから離れてしまったデベロッパーを呼び戻せるかどうかだ。Hilwaは、その手段として開発環境をオープンソース化するのが有効だという。

「デベロッパーを引き寄せるには、オープンソース化が必須だ。Visual Studioチームはこのことをよく理解しており、Microsoftのエコシステムをオープンソースにするという大事業をリードしている」とHilwaは語った。

ライバルが開発環境を無料ないし安い価格で提供している以上、Microsoftも開発ツールで金を取ることは不可能になった。Microsoftにとってデベロッパーを惹きつけることはWindows Phone戦略の上からも極めて重要だ。Windows PhoneもWindows 10で作動する。デベロッパーがWindows 10でコードを書けるようになればWindows Phoneのアプリを開発するのも容易だ。MicrosoftのOS共通化戦略が期待どおりに働くかどうか、今後に注目だ。【中略】

当面の結論としてこういうことが言えそうだ。一般ユーザーのWindows 10への関心は高い。エンタープライズ市場について判断を下すには早過ぎるが、クラウド化によってWindows 10への移行が加速される可能性がある。今後、正確なダウンロード数、デベロッパー数がMicrosoftから発表されることを期待したい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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