写真共有サービスといえば、さすがにいまさら感が強い。
しかし驚いたことに、まったく新しいコンセプトの写真共有を提案するスタートアップが現れた。Povioは誕生したばかりのスロベニアのスタートアップだが、すでに人気を得始めており、Y Combinatorの冬学期に参加を認められた(YCは20万ドルの投資、3ヶ月の集中指導と引き換えに会社の権利の7%を得る)。
Povio(iOS版とAndroid版を提供中)の写真共有モデルはまったくユニークなものだ。われわれはこれまでこういうシステムを見たことがない。
現在の写真共有サービスの仕組みはプッシュ・モデルだ。つまり、ユーザーが写真を撮り、それを友だちに見せて何らかの反応を期待するわけだ。しかし友だちはユーザーの撮った写真を見たがっているかどうかわからない。写真共有サービスは写真を撮って人に見せるという伝統的なフィード方式を採用している。このモデルの問題は、シャイなユーザーには向かないという点だ。そして大勢のティーンエイジャーはたいへんシャイだ。
Povioが提供するのはまったく逆のモデルだ。Facebookのアカウントを使ってPovioアプリにログインすると、Povioをインストールしている友だちのリストが表示される。ユーザーは興味をもった友だちにピン(「写真をください」というリクエスト)を送る。友だちは、気が向けば、写真を撮って送り返す。
〔日本版:POVとはPoint Of Viewの頭文字で「撮影者の見た目」という意味。撮影者は「今自分が何を見ているか」を写真で共有する仕組み。〕
こうして写真を介した1対1の会話が成立する。ティーンエイジャーの場合、これが男女交際のいとぐちになることも容易に想像される。友だちにいきなり写真を送りつけるより、写真をくださいとお願いする方が礼儀正しいし、双方ともにバツの悪い思いをしにくい。
アプリが最初に公開されたのは約1年前だが、スロベニアと東欧ではあっという間に大人気になった。特に 発祥の地のスロベニアではTwitterユーザーの半数がPovioをインストールしているという。
その後Povioは2014年のY Combinatorの冬学期に選抜されたのでシリコンバレーへの移住を決めた。
次のステップは当然アメリカ市場攻略だが、Povioはシリコンバレーの真ん中に位置するサンタクララ大学でその第一歩を踏み出した。「4週間で学生の30%、1200人がPovioに登録し、その半数は毎日使っている。つまりサンタクララ大学の学生の15%は毎日Povioを使っている」とファウンダーのMatevz Petekは言う。 アメリカの登録ユーザーの55%は毎日利用しているという。
Petekは「われわれはコンテンツを一方的に押し付けるのではないソーシャルネットワークを構築したい。Povioはコンテンツの共有を受け手側から頼むモデルだ。このほうが厚かましくない」と語った。
「しかしすぐにクローンされてしまうのではないか?」という質問に対して、Petekは「クローンされるのは仕方がない。しかし重要なのはテクノロジーよりユーザー・コミュニティーだ。ひとたび先行するPovioがコミュニティーを確立してしまえば、他のソーシャルネットワークの場合もそうだが、長期的にやって行けると考えている」と語った。
Povioは現在成長と規模拡大に努力を100%集中している。
万一PovioがうまくいかなくてもPetekには戻る場所がある―彼はフリースタイル・スノーボードのワールドカップ・チャンピオンになったことが何度もあるのだ。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)