Yelpが初公表したレポートによると投稿レビューの25%が非推奨に

レビューサイトの老舗Yelpが初めて、信頼と安全レポート(trust and safety report)を発表した。同社によるとその目的は、不正なあるいは不正確で役に立たないコンテンツを取り締まることだ。

Yelpのメインのコンテンツは一般ユーザーによる地元の企業やお店の評価や情報であり、その他のソーシャルメディアプラットフォームを悩ませている偽情報とは無縁だと思いたいが、Yelpのレビューにお店や企業の命運が左右されることもある。

他のオンラインプラットフォームと同様、Yelpもソフトウェアによる選別と人間によるチェックを併用している。ソフトウェアの主な仕事は、寄せられたレビューを推奨 / 非推奨に分けることだ。同社の信頼と安全グループプロダクトマネージャーであるSudheer Someshwara(スディール・ソメシュワラ)氏によると、非推奨になる理由は、利害関係者が書いたらしいとか、企業から頼まれた提灯記事っぽいとか、過去にほとんど投稿のない人からの、意図のよくわからない投稿であることとなる。

ソメシュワラ氏は「私たちは公平と誠実さを重視している。ソフトウェアが行った決定をYelpの社員が覆すことはできない。技術者でもだ」と述べている。「企業についても、それは同じだ。広告を出しているか、いないは関係ない」。

画像クレジット:Yelp

同社によると、2020年の投稿数は1810万ほどで、そのうち460万、すなわち約25%がソフトウェアにより非推奨とされた。ソメシュワラ氏によると、非推奨になったレビューは全部が消されるわけではなく、別のところで探せるものもあるという。

削除されるものもあるが、その際は同社のユーザー対応部門が介入する。同社の法務と信頼と安全担当副社長Aaron Schur(アーロン・シュール)氏は、次のように説明している。「企業にも一般ユーザーにも、レビューを容易に判定できるようにしている。彼らが疑問符を付けたコンテンツは担当者が査読して、適否を判断している。その時点で、ガイドラインに違反していたら削除される」。

Yelpによると、2020年は同社のポリシーへの違反で約71万件(4%)のレビューが完全に削除された。その中の5200件ほどは、同社の新型コロナウイルスに関するガイドラインに違反していた。特に、その店舗から新型コロナを移された、マスク着用義務への不平、閉めない店に対する批判などは削除される。また、別の1万3300件は5月25日から年末までの間に、脅迫やわいせつ、ヘイトスピーチ、その他の有害なコンテンツとして削除された。

ユーザー対応担当副社長であるNoorie Malik(ヌーリー・マリク)氏は「現在、起きていることはどのようなものでも必ず、何らかのかたちでYelpにもやってくる。人びとは、Yelpやその他のソーシャルメディアプラットフォームを利用して、自分の意見を言いたいのだ」という。

政治的な信条を吐露は、マリク氏のいう「Yelpの原則的指針」に抵触することがある。原則は、レビューが「自分の実体験に基づいている」ということだ。そのためYelpが開発したソフトウェアは、異常な活動を見つけたり「格づけやレビューを操作しようとする露骨な試み」と見えるものには警告を出したりする。特に、メディアに刺激されたと思われる諸説は前年比で206%増加した(ほぼ3倍)。

レビューの中で政治的な意見を述べてはいけないということではないが、とにかくYelpのレビューの原則は、本人の実体験であることだ。どこかでネガティブな記事を読んだとか、お店に対する怒りのツイートがあるなど、間接的な素材をネタに使ってはいけない。マリク氏によると、そういうレビューは、Yelpのチームが同感であっても削除される。

例えばそのお店のオーナーや従業員が人種差別的に振る舞っていた、というメディア記事を元に書かれたと思われるレビューは削除するが、しかし2020年の12月には2つのお店に「人種差別で非難されている」というラベルをつけて、レビューを載せたことがある。それらのお店は、オーナーや従業員による人種差別的行為の証拠があまりにも露骨で明白だったからだ。

Yelpは、そうやって個々のレビューや異状に対応する他に、不正なレビューを投稿する集団を見つけるための「おとり捜査」も行う。

実際に彼のチームはこれまで、レビューのリングに結びついていると思われる1200のユーザーアカウントを閉鎖したようであり、200近いグループを他のプラットフォームに報告した。そして同社は最近、そういうグループからのレビューを見つけて非推奨にするソフトウェアのアルゴリズムをアップデートした

関連記事:レビューサイト最大手Yelpが店舗の新型コロナ対策に関するユーザーフィードバックを表示

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Yelp

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg/Getty Images

原文へ

(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。