Yelpが新型コロナワクチンに関するポリシーを共有できる事業者向けツールを導入

米国では企業や店舗が客やスタッフに対してワクチン接種証明を要件とすることを選ぶようになっているなかで、ビジネス検索・レビューのサイトYelp(イェルプ)は企業や店舗がそうしたポリシー変更を顧客に案内できる新たなツールを導入する。Yelpは米国8月5日、事業者がどのようなパンデミック対応を取っているのか消費者が理解できるよう、2つのプロフィール属性「ワクチン接種証明が必要」と「スタッフはワクチン接種完了」の提供を開始した。

政府はワクチン接種証明を必須とすることを企業に義務付けていないが、一部の都市は独自の規則を導入している。つい最近、ニューヨーク市が屋内のレストランやスポーツジム向けにワクチン接種証明を必須とする初の都市となり、サンフランシスコも同様の義務化を検討中だ。他の都市も後に続くことを選ぶかもしれない。

加えて、米国各地の地方の事業主たちは連邦政府や州のガイダンス以外の対策を実行している。例えば顧客にマスク着用やワクチン接種証明を求めたり、スタッフにワクチン接種を義務付けたりといったものだ。こうした選択は往々にして犠牲を伴い、ソーシャルメディアで批判を浴びたり、ワクチン反対派の人からひどいレビューを書かれたりするリスクがある。

新機能はそうした反応を和らげようとする試みだとYelpは説明する。

事業者が新型コロナワクチン規則に関する2つの新しいオプションの使用を選んだ場合、顧客による攻撃から事業者を守るために、自動化されたシステムと人間のモデレーターの組み合わせを積極的に展開する、とYelpは話す。

Yelpは「レビュー爆撃」問題を解決するためのシステムを長らく採用しているが、ここ数カ月、そうした問題はひどくなっていると話す。

過去に、世間から否定的な見方をされた事業者は直接的な関わりがない人からレビューをつけられることがあった。それはYelpの規則に違反している。フェイクのレビューの可能性がある場合や、異常な動きが急増している事業者のページを訪れる人にYelpは警告する。同社はときとして、ユーザーがレビューを残せないようにすることすらある。一部のケースでは、Yelpは規則違反の虚偽レビューを削除する必要もある。

しかし2021年1月以降、新型コロナに関する健康と安全のための慣行で世間の注目を集めている事業者への対応で、そうした事業者のページに100超のUnusual Activity Alerts(異常活動警告)を出さなければならなかった、とYelpは話す。ここには、従業員や顧客にワクチン接種を求めると事業者が顧客に伝えた場合も含まれていた。

その結果、Yelpはコンテンツガイドライン違反で4500件近くのレビューを削除しなければならなかった。

Yelpはすでにこうした種の事案に対処していたため、いま正式に事業者が新たなプロダクトを通じて新型コロナ慣行を前面に出す方法を導入する。

Yelpは2020年6月に黒人所有という属性を、その後他のアイデンティティ属性(ラテン系の所有アジア人の所有、そしてLGBTQの所有など)を立ち上げたとき、似たようなシステムを導入した。Yelpのガイドラインに違反する増悪に満ちた、人種差別的、あるいは有害なコンテンツがないか、こうした属性を採用した事業者ページを積極的にモニターした。

新型コロナ規則に関する新しい機能に対し、事業者からの需要がある、とYelpは話す。

「事業者、消費者のどちらもYelpがワクチン関連の属性をリリースすることに関心を示してきました」と同社のユーザーオペレーション担当副社長Noorie Malik(ノーリー・マリク)氏は語る。「何カ月もの間、顧客や従業員に対してワクチン接種を要件とする事業慣行を我々は目にしてきました。その結果、実際の体験よりもコロナワクチンに対する事業者のスタンスにフォーカスしたレビューの増加も目にしました」とマリク氏は説明した。

事業者は、新型コロナに関する情報を共有することを選ぶとき、偽のレビューがないかページが積極的に監視されていると安心したい。

もちろんYelpは、同社のレビュープラットフォームが顧客の詳細な直の体験から外れた場所となれば、サービス全体が以前ほど有用でなくなることを理解している。

「毎日Yelpにやってくる何百万という人に支出に関する情報を提供し、Yelpは常に地域の事業者に関する信頼できる情報源として活用されてきました」とマリク氏は話した。「消費者が事業者と関わりを持つとき、関連する直の体験についてのリソースを持つのは大事です。これは、消費者の体験からのレビューを貴重なものにしている公衆衛生危機にあってはさらに重要とも言えます」。

新機能は現在展開中で、Yelp for Businessアカウントページでチェックできる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Yelpが初公表したレポートによると投稿レビューの25%が非推奨に

レビューサイトの老舗Yelpが初めて、信頼と安全レポート(trust and safety report)を発表した。同社によるとその目的は、不正なあるいは不正確で役に立たないコンテンツを取り締まることだ。

Yelpのメインのコンテンツは一般ユーザーによる地元の企業やお店の評価や情報であり、その他のソーシャルメディアプラットフォームを悩ませている偽情報とは無縁だと思いたいが、Yelpのレビューにお店や企業の命運が左右されることもある。

他のオンラインプラットフォームと同様、Yelpもソフトウェアによる選別と人間によるチェックを併用している。ソフトウェアの主な仕事は、寄せられたレビューを推奨 / 非推奨に分けることだ。同社の信頼と安全グループプロダクトマネージャーであるSudheer Someshwara(スディール・ソメシュワラ)氏によると、非推奨になる理由は、利害関係者が書いたらしいとか、企業から頼まれた提灯記事っぽいとか、過去にほとんど投稿のない人からの、意図のよくわからない投稿であることとなる。

ソメシュワラ氏は「私たちは公平と誠実さを重視している。ソフトウェアが行った決定をYelpの社員が覆すことはできない。技術者でもだ」と述べている。「企業についても、それは同じだ。広告を出しているか、いないは関係ない」。

画像クレジット:Yelp

同社によると、2020年の投稿数は1810万ほどで、そのうち460万、すなわち約25%がソフトウェアにより非推奨とされた。ソメシュワラ氏によると、非推奨になったレビューは全部が消されるわけではなく、別のところで探せるものもあるという。

削除されるものもあるが、その際は同社のユーザー対応部門が介入する。同社の法務と信頼と安全担当副社長Aaron Schur(アーロン・シュール)氏は、次のように説明している。「企業にも一般ユーザーにも、レビューを容易に判定できるようにしている。彼らが疑問符を付けたコンテンツは担当者が査読して、適否を判断している。その時点で、ガイドラインに違反していたら削除される」。

Yelpによると、2020年は同社のポリシーへの違反で約71万件(4%)のレビューが完全に削除された。その中の5200件ほどは、同社の新型コロナウイルスに関するガイドラインに違反していた。特に、その店舗から新型コロナを移された、マスク着用義務への不平、閉めない店に対する批判などは削除される。また、別の1万3300件は5月25日から年末までの間に、脅迫やわいせつ、ヘイトスピーチ、その他の有害なコンテンツとして削除された。

ユーザー対応担当副社長であるNoorie Malik(ヌーリー・マリク)氏は「現在、起きていることはどのようなものでも必ず、何らかのかたちでYelpにもやってくる。人びとは、Yelpやその他のソーシャルメディアプラットフォームを利用して、自分の意見を言いたいのだ」という。

政治的な信条を吐露は、マリク氏のいう「Yelpの原則的指針」に抵触することがある。原則は、レビューが「自分の実体験に基づいている」ということだ。そのためYelpが開発したソフトウェアは、異常な活動を見つけたり「格づけやレビューを操作しようとする露骨な試み」と見えるものには警告を出したりする。特に、メディアに刺激されたと思われる諸説は前年比で206%増加した(ほぼ3倍)。

レビューの中で政治的な意見を述べてはいけないということではないが、とにかくYelpのレビューの原則は、本人の実体験であることだ。どこかでネガティブな記事を読んだとか、お店に対する怒りのツイートがあるなど、間接的な素材をネタに使ってはいけない。マリク氏によると、そういうレビューは、Yelpのチームが同感であっても削除される。

例えばそのお店のオーナーや従業員が人種差別的に振る舞っていた、というメディア記事を元に書かれたと思われるレビューは削除するが、しかし2020年の12月には2つのお店に「人種差別で非難されている」というラベルをつけて、レビューを載せたことがある。それらのお店は、オーナーや従業員による人種差別的行為の証拠があまりにも露骨で明白だったからだ。

Yelpは、そうやって個々のレビューや異状に対応する他に、不正なレビューを投稿する集団を見つけるための「おとり捜査」も行う。

実際に彼のチームはこれまで、レビューのリングに結びついていると思われる1200のユーザーアカウントを閉鎖したようであり、200近いグループを他のプラットフォームに報告した。そして同社は最近、そういうグループからのレビューを見つけて非推奨にするソフトウェアのアルゴリズムをアップデートした

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

レビューサイト最大手Yelpが店舗の新型コロナ対策に関するユーザーフィードバックを表示

これからYelp(イェルプ)ユーザーは、料理がおいしいか、クレジットカードが使えるか以外のことも質問されるようになる。レビューサイト最大手は、店員がマスクをしていたか、ソーシャルディスタンスを徹底していたかについてもユーザーがフィードバックできるようにする。

Yelpの消費者プロダクト責任者Akhil Kuduvalli Ramesh(アクヒール・クドゥバリ・ラメシュ)氏は、これは同社が地域事業者を支援する次のフェーズであると説明する。これまでにも同サービスは、バーチャル・サービスを大きく紹介したり、店舗が順番待ちリストを新しい規則に沿って管理できるようにしたり、店舗が実施している健康安全対策を紹介するなどの施策をとってきた。

もちろん、店舗がマスク着用とソーシャルディスタンスを厳格に適用していることを宣言していることと、それが真実である(かないか)を顧客に聞いて確認することはまったく意味が異なる。これはユーザーに特定の事業者を避けるよう警告するものではなく「消費者が地域事業とつながり、支援を続けることを推進する」目的の方が大きいとラメシュ氏はいう。

ユーザーが店のプロフィールページにアクセスすると、ソーシャルディスタンスが徹底されているか、店員がマスクを着用しているかを尋ねられる。その他の健康や安全に関する質問(およびプロフィールのEditボタンを押してもう少し詳しいフィードバックを送れる機能)も将来追加するかれしれないが、現在、ユーザーが最も気にしているのはこの2つだとラメシュ氏は語った。

画像クレジット:Yelp

Yelpが意味のあるデータを公表するために必要な回答数(正確な数は当然、明かさなかった)が集まったら、プロフィールの健康・安全セクションに「多数のユーザーによるとソーシャルディスタンスが徹底されている」というメッセージとグリーンのチェックマーク、あるいは「多数のユーザーによるとソーシャルディスタンスが徹底されていない可能性がある」とオレンジ色のクエッションマークが表示される。マスク着用についても同様だ。

回答の意見が割れたが、対策が実施されていないことを示す「有意」なフィードバックがある場合には、「most users(多数のユーザー)」の代わりに「some users(一部のユーザー)」によるというメッセージを表示する。

ラメシュ氏は、Yelpはこのユーザーフィードバックの収集をすでに行っており、本機能の開始時点で、数百万の登録店舗の中でオレンジ色のラベルがつくのは「数百」にすぎないと語った。「これは多くの事業者が正しい行動をしているという意味でもあります」。

画像クレジット:Yelp

複数の場所にある事業者の場合、健康・安全データは場所ごとに登録されると同氏は語った。また、ラベルは過去28日間のフィードバックに基づいているため、オレンジラベルのついた事業者であっても改善されればいずれはそれが反映されてプロフィールは改善されるはずだ。

さらにYelpは、事業者がプロフィールに新たなサービスや安全対策を追加できるようにすると語った。従業員の症状検査、使い捨てあるいは非接触メニュー、店外座席の暖房や雨除けなどの情報だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook