YouTubeがチャプター機能導入、指をずらして再生スクラブも可能に

YouTubeで長い動画中の見たい場所を探してスライドバーの赤い丸をあちこち動かして苦労したことがあるなら、これは歓迎すべき変更だろう。ビデオチャププター(Video Chapters)は視聴者がビデオ内の特定の位置にジャンプするのを助ける新機能だ。

ビデオの製作者は、タイムスタンプを利用してビデオをチャプターに区切ることができるようになった。製作者がチャプター情報を付加する必要があるためすべてのビデオでこの機能が利用できるわけではないが、視聴者のナビゲーションが容易になった。

YouTubeは4月にビデオチャプターのテストを始めたていた(Android Police記事)が、このほどデスクトップに加えてiOS、Androidでも一般公開された。

製作者がビデオの「説明」にチャプター情報を付加するとビデオチャプターは自動的に有効になる。チャプター情報はチャプター名と開始時点のタイムスタンプの組からなる。最初のチャプターのタイムスタンプは0:00だ。スペースを空けてチャプター名を続ける。1チャプター1行を使うので改行し、「2:31 第2の場面」のように次のチャプターのタイムスタンプと名称を入力する。以下同様だ。チャプター情報の入力が終わったら「説明」を保存、もしくは更新する。

ビデオチャプター機能を利用するためにはビデオにはそれぞれ10秒以上の部分が少なくとも3つ必要だ。

YouTubeではモバイルデバイスでビデオを見るユーザーのために触覚(ハプティック)なマークも入れた。動画が新しいチャプターに入るとかるい「ビッ」という振動を感じるとYouTubeでは説明している。もちろんこれはハプティック・フィードバック機能をサポートしているデバイスでのみ有効だ。

また上のGIF画像のように視覚的な「スナップ」も用いられ、チャプターによってスライドバーの表示が変化する。チャプター開始位置に正確に移動したい場合は、わずかに動かすだけでそこに「スナップ」する。ユーザーは適当なところで現在位置を動かすの止め、新しいチャプターが始まるのを待つこともできる。

今回のアップデートではビデオチャプター以外にも便利な機能が追加された。モバイルやタブレットの場合、現在位置のマーカーをスクラブ中に画面に指つけたまま上下に動かしてスクラブバーを見ることができる。今までは指が邪魔で現在位置がどこなのかわかりにくかったが、指を上下にずらしても画面から離さないかぎりスクラブを続けることができる。

YouTubeでは、この機能のテストを開始(@Podcastageのツイート)すると同時に、好意的なフィードバック(@Eric Ravenscraftのツイート)が多数寄せられた(@Philip DeFrancoのツイート)と説明している。

またYouTubeではテスト中に表示できるチャプター数をデバイスがスクリーンの大きさに応じて決定できるようにすればサポートするチャプター数を増やせることに気づいてそのように改良している。つまり多数のチャプターに区分された長いビデオを見るなら縦位置のモバイルデバイスより横位置がよいし、デスクトップの方がさらに便利だ。デスクトップでも全画面で表示すればいっそう多数のチャプターがサポートされる。

ビデオチャプター機能はYouTubeが提供するが、チャプター区分情報はビデオの製作者が入力しなければならないため、既存ビデオの大半にはまだチャプターが表示されない。しかしチャプターの動作を確認できるビデオもある。The Flaming Lips(ザ・フレーミング・リップス)や Radiohead(レディオヘッド)のコンサート、 SpotlightチャンネルのインタビューJens Larsen(ジェンス・ラーセン)のギターレッスン バーベキューチキンのレシピ機械学習についてのMITの講義などだ。

新機能によって長尺動画をナビゲーションするときの煩わしさが大きく軽減された。これはユーザーのエンゲージメントを高めるだろう。YouTubeを長いコンテンツのリソースとするのに大いに役立つことことは間違いない。コンサートではお気に入りの曲が演奏されていることろだけ見ることができるし、レシピやチュートリアルでも不要な部分をかき分けてなくてもすむ。これまでは見たい場所が簡単に見つからず、視聴を止めてしまうことも多かった。最も視聴者が見たい場所だけを簡単に見られることはトータルの視聴時間を減らす可能性もある。

YouTubeによると、チャプター機能はレコメンドやそのほかのアルゴリズムには一切影響を与えないとしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook