6月中旬にYouTubeは、YouTubeアプリ内で直接、仮想メイクを試せる新しいAR機能を計画していることを発表した。米国時間8月15日、この「Beauty Try-On」機能の初めての公式キャンペーンが始まり、視聴者はYouTubeクリエイターのRoxette Arisa(ロクセット・アリサ)のメイクチュートリアルビデオからメイクブランド、MAC Cosmetics(M·A·C)のリップを試用し、購入できるようになった。
メイクのチュートリアルはYouTubeではとても人気がある。そのため、お勧め製品を試せるように統合されたことには大いに納得がいく。リップを試せる機能は画期的なものではない。同じようなフィルタを備えた今どきのソーシャルメディアアプリはたくさんある。しかし、YouTubeのこの機能は複雑なARメイクを統合して進化している。
新しいAR機能は、モバイルデバイスで最新バージョンのYouTubeアプリを使っている場合のみ動作する。
ビデオを見ている時に「試す」ボタンが表示され、このボタンをタップするとカメラが起動して画面が分割表示される。ビデオの再生は続いているが、下部にいくつかあるリップの色をタップすると自分の顔に適用されて、どれがいちばん似合うかを探せる。InstagramやSnapchatなどのソーシャルアプリのフィルタとは異なり、リップカラーは自分の唇の形通りに適用され、はみ出さない。きわめて自然に見える。
M·A·Cは今後、YouTubeのブランドコンテンツ部門であるFameBitを通じてクリエイターとコラボしていく計画だ。このプログラムによりブランドとYouTubeのインフルエンサーがつながり、ブランドは広告費を出して製品をマーケティングしていく。
M·A·CがこのAR機能の最初のパートナーだが、他社もこれに続きそうだ。
サービス開始前にYouTubeはこのAR Beauty Try-Onをいくつかのメイクブランドとともにテストした。その結果、iOSのYouTubeアプリでは視聴者の30%がこの機能を有効にすることがわかった。
この機能を有効にした人はかなり引きつけられ、仮想リップカラーを80秒以上試していたという。
仮想メイク体験を提供する会社はGoogleが初めてではない。ソーシャルメディアアプリに加え、YouCamメイク、SephoraのVirtual Artist(日本では非公開)、Ulta Beauty(日本では非公開)などのAR美容アプリがある。ロレアルも自社ウェブサイト上でライブ試用機能を提供しているし、2018年にはFacebookと連携して仮想メイクをFacebookで試せるようにした。さらにTargetのオンラインBeauty Studioでは多くのブランドのメイク製品をバーチャルで体験できる。
しかしYouTubeの実装は、単に楽しむためのコンシューマ製品ではなく、ARを利用した広告キャンペーンであるという点でほかとは異なる。
仮想メイクなんてくだらないという見方もあるかもしれないが、この市場は巨大だ。毎日、100万人以上がYouTubeでメイクのチュートリアルを見ているし、メイクブランドにとってYouTubeはReferralトラフィックの主要なアクセス元となっている。2018年にはYouTubeで美容関連のコンテンツは1690億ビューを獲得している。
YouTubeビデオはここから視聴できる。モバイルのYouTubeアプリならAR機能を利用できる。「試す」ボタンをタップしても自分の顔が表示されない場合は、おそらくYouTubeアプリをアップデートする必要がある。
画像:Getty Images
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(翻訳:Kaori Koyama)