Zoomが同社プラットフォームでの事業立ち上げを支援する108億円のZoom Apps投資ファンド開設

2020年、Zoom(ズーム)がZoom Apps(ズームアプス)とそのアプリを販売するためのMarketplace(マーケットプレイス)をローンチしたのは、人気ビデオ会議アプリだけでは終わらないという強いメッセージだった。同社が目指すのは、開発者たちがZoom上でアプリが開発できるプラットフォームだ。

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米国時間4月19日、同社は1億ドル(約108億円)の投資ファンドを開設し、有望なスタートアップがZoomのプラットフォーム上で同社のツールセットを使った事業を立ち上げられるよう、資金を提供して支援すると発表した。同時に、その他の開発者たちにもプラットフォーム上のツールをジャンプ台として活用するよう奨励している。

「私たちは、実現性の高い商品と、アーリーステージの市場けん引力を持ち、Zoomエコシステムでの開発に関与し、そこへ資本投下している企業を探しています」とZoomのColin Born(コリン・ボーン)氏は、今回の新プログラム発表のブログ記事に書いている。

Zoomの幹部チームが強く関与する経営企画部門は、ポートフォリオ企業の選択と管理を任されることになる。同社では、ポートフォリオに加えられた企業には、それぞれ25万ドル(約2700万円)から250万ドル(約2億7000万円)の投資を行うことにしている。

「その大部分は、それらアーリーステージ企業が成長し成功するよう、事業推進を促し、Zoomの資源とコネクションが活用できるようにするのが狙いです」とZoomのCTOであるBrendan Ittelson(ブレンダン・イッテルソン)氏は私に話した。

投資の成功を望んではいるものの、その目的の大きな部分を占めるのは、Zoomが提供するプラットフォームを有効に利用するよう資金提供によって開発者たちを励ますことだ。「それらの企業が価値ある魅力的な体験を構築できるよう支援し、それを手にし、そこに投資することで、ソリューションの獲得とエコシステムのさらなる拡大を助け、ひいては顧客がそこから恩恵が得られるようにできると感じています」と彼はいう。

Zoomには、新参起業家たちがZoom機能を利用したアプリ構築に利用できる開発ツールが揃っている。2021年3月、同社は、プログラマーがZoom機能を開発中のアプリに組み込めるようにするSDK(ソフトウェア開発キット)を公開した。

また同社は、教育や医療など特定の目的のためにデザインされたアプリをZoomに埋め込むためのツールも提供している。さらに、その方法を集中的に学べる場所をdeveloper.zoom.usに開設した。

Zoomプラットフォームのためのアプリを開発する企業に投資しているのは、Zoomだけではない。Sequoia(セコイア)、Maven Ventures(メイベン・ベンチャーズ)、Emergence Capital(エマージェンス・キャピタル)といった企業も、すでにZoom上でアプリを開発するスタートアップ企業に投資を行っている。Mmhmm(ンーフー)、Docket(ドケット)、ClassEdu(クラスエデュ)などがそうだ。

このファンドは、スタートアップ創設者に、アイデアを実現に近づけるための資金調達に、新たなオプションを追加するものだ。イッテルソン氏は、投資はすべて創設間もない企業に向けたシードレベルのものであり、Zoomからは、若い企業の製品開発と流通を手伝う開発者とビジネス資源も提供すると話している。

現在、ポートフォリオに加えるべき有望なスタートアップを探している最中だと彼は話しているが、興味のある起業家のみなさんは、こちらからzoom.com/fundへ直接申し込むことも可能だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Zoomベンチャーファンドアプリ

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:金井哲夫)

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