10万店舗が出店するまでに成長したオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。北海道・札幌で5月22日から23日にかけて開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」のCtoCビジネスに関するセッションで現状を語ってくれたブラケット 代表取締役の光本勇介氏が、セッション終了後により詳しい近況を教えてくれた。
ZOZOTOWN出店企業向けの新機能
驚いたのは、ZOZOTOWNとの連携だ。2013年7月にスタートトゥデイの子会社となったブラケットだが、2014年1月には個人・法人を問わず出店できるマーケットサイト「ZOZOMARKET」を公開している。しかしこのほかにも、ひっそりとサービスの連携を進めていたそうだ。
その1つがZOZOTOWNの出店企業向けの「STORES.jp PRO」というものだ。これはZOZOTOWNの管理画面上にあるスイッチをオンにすると、その企業のオリジナルECサイトをSTORES.jpをベースにして構築できるというものだ。ドメインの指定なども可能で、商品もいちいち登録する必要はなく、ZOZOTOWNに登録する写真や価格といったデータをそのまま利用できる。
スタートトゥディではこれまでも企業向けにオリジナルのECサイトを構築する事業を展開してきた。しかし大規模なECサイトをスクラッチから構築した場合、イニシャルコストだけでも数千万円になる。「ZOZOTOWNに出店する企業はそれなりの規模があるが、実はオリジナルのECサイトを持っていないところがほとんど。フルカスタマイズしてサイトを構築したいのであれば数千万円かけてもいいが、まずはイニシャルコストをゼロにしてやってみたいという企業も少なくないと思う」(光本氏)
まずは「ものを売る」という体験を提供してもらう
STORES.jpやBASEといった新しいネットショップ構築サービスの台頭、Yahoo!ショッピングの無料化など、2013年はECを取り巻く環境に大きな変化が起きた。STORES.jpでも数多くの新機能を提供してきたが、現在はグロースハックや、マーケティング関連の施策に注力しているという。
マーケティング施策についてはセッションでも触れていたが、光本氏は「ECはつまるところ売れてなんぼ。ECで『ものを売る』という体験を提供しないと結局ユーザーはハッピーにならない」と主張する。これを実現するために、STORES.jp上には「プロモーションスイッチ」という機能を用意する。このスイッチをオンにすると、ZOZOMARKETや提携する各種ECサイト上に、STORES.jpで販売する商品を掲載できるというものだ。実際、このスイッチをオンにすることで、売上が2.7倍になるという実績があるという(スイッチをオンにした場合、販売価格の10%の手数料がかかる)。
今後ねらうのは「予想できないジャンプ」
楽天でも約4万店舗。STORES.jpの「10万店舗の出店」と聞くと順調な数字も思えるが、光本氏は「今だと12月の時点だと予想がつく程度。実際にはすごいことかもしれないが、予想ができる道をそのまま歩いてもつまらない」と語る。具体的な施策については明らかにされなかったが、今夏にも「いかに予想ができないジャンプをするか」という視点で機能を提供していくそうだ。